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目玉選手よりも「光る一芸」。
スカウトが秘かに狙うセンバツの7人 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 それほどのピッチャーが昨年の秋に力を発揮できなかった理由はどこにあるのだろうか。

「まぁ、メンタルって言ってしまえばそこまでなんですけど、たまにピッチャーは"遅咲き"の選手がいるんですよ。それがいいとか、悪いとかではなく、タイプとして時間がかかるピッチャーがいるんですよ。コンスタントに力を発揮するまで時間を要するのですが、いったん覚醒してしまえば、なにもなかったような顔をして働いている。もしかしたら根本もそういうタイプかもしれない......そう思っているから、気長につき合っていきますよ」

 また別のスカウトは、「状況として"隠れている"という意味では、東邦(愛知)の熊田任洋(とうよう/内野手/172センチ72キロ/右投左打)なんて面白いんじゃないですか」と俊足・強肩のショートを推す。

「東邦には石川昂弥(たかや)というバリバリのドラフト候補がいるんですが、球団によっては50m5秒台の足があって、身体能力の高い熊田の方が『使い勝手がいい』と高く評価しているところもあります。タイプ的には広島の菊地(涼介)かなぁ......小柄だけど、体が強く、パワーもある。初球からぴったりタイミングを合わしてきてスタンドに放り込む"怖さ"を持ったバッティングは、まさにプロ向きですよ。あとは、守りがどこまでうまくなっているかですね」

 その熊田と二遊間を組む杉浦勇介(179センチ63キロ/右投左打)の名前を挙げるのは、内野手出身のスカウトだ。

「担当地区じゃないので、昨年秋の明治神宮大会で初めて見たのですが、自分の頭で考えながら、ものすごくノビノビとプレーしているんです。ちょっとびっくりしましたね」

 東邦は全国屈指の強豪校であり、ワンプレー、ワンプレーにベンチから細かい指示が出ていそうなものだが......。

「出ていると思いますよ。いろんな制約のなかで野球をやっていると思うんですけど、そういう窮屈感がプレーにまったく出ていないんですよ。定位置よりも相当うしろで守っていたんですけど、よほど肩に自信があるんでしょうね。ボール回しの身のこなしを見ても、フットワークが軽快で、スナップスローもうまい。秋は体が薄かったけど、どこまで体をつくってきたか。75キロぐらいになっていたら、全球団マークでしょうね」

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