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あの「パ首位打者」が高校監督に。
半端ない大迫の母校で甲子園を目指す (2ページ目)

  • 加来慶祐●文・写真 text & photo by Kaku Keisuke

 現役時代は球界を代表するバットマンであり、コーチも務めたほどの人物。選手たちは「ピンポイントで与えてくれるアドバイスがすぐに効果を発揮するからすごい」と目を丸くする。だが、佐々木は言う。

「練習で高めた意識、集中力を持ってネクストバッターズサークルへと向かう。いろいろ形を気にするのはネクストまでです。打席に入ってしまえば形うんぬんは気にしていられない。そこは何も考えず、フルスイングするだけ」

 形よりも心構えを説いている感もある。これも佐々木が目指す野球なのだろう。

 佐々木は社会人野球の指導経験もあり、2008年から3シーズンはセガサミーを率いて都市対抗2回、日本選手権1回の出場を果たし、2012年から2シーズン指揮を執ったNTT西日本でもチームを都市対抗へと導いている。

 そのとき痛感したのが、アマチュア選手を指導することの難しさだった。

「特に学生野球の指導は、本当の指導スキルがないと難しいと思います。去年まで指導していたプロの三軍選手や社会人野球の選手であれば、ある程度はこちらの期待通りに動いてくれる。でも今度の相手は高校生ですからね。考え通りに事が進むはずがありません。

 できないことが当たり前と思って指導していかないと、2年ちょっとという限られた時間のなかで力を伸ばしてやることはできない。『オレはこうだった』というスタンスで接すると、それはもうエライ目にあいますよ」

 佐々木にとって初となる夏の采配、鹿児島城西の初戦は7月9日の奄美戦となる。もし順当に勝ち上がれば、ベスト16で第1シードの鹿児島実業と対戦する可能性もある。

「夏が近づいてきたという高ぶりよりも、信頼している選手たちがどんな野球を実践してくれるのだろうかという思いの方が強いですね。こんな心境でいいのかな......。とにかく初めてなのでわからないことだらけ(笑)」

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