谷繁元信が中村奨成に贈る、
「高卒ドラ1捕手」がプロで生き抜く方法

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 内ヶ崎誠之助●写真 photo by Uchigasaki Seinosuke

 名実ともにドラフト1位候補となった広陵高校の中村奨成。夏の甲子園では大会新記録となる6本塁打を放ち、打率も.679の高い数字をマーク。さらに、スピード感あふれる守備と強肩も魅力で、どの球団が指名するかに注目が集まる。果たして、中村はプロでも超一流の捕手となれるのか。高校生でドラフト1位指名され、かつて日本一の捕手と評された解説者の谷繁元信氏に中村の可能性について話を聞いた。

夏の甲子園での活躍で一躍ドラフト1位候補となった広陵・中村奨成夏の甲子園での活躍で一躍ドラフト1位候補となった広陵・中村奨成「甲子園でのプレーを2試合ほど見ましたが、まだ体の線は細いものの、プロの捕手として必要な肩の強さ、ステップの速さはすでに持っています。ただ、甲子園で見せた"いい形"というのを、プロの世界で1年間できるかといえば、今の体力では厳しいと思います。この技術を同じレベルで保つための体力が必要になるでしょうね」

 谷繁氏は中村へのアドバイスとして、「今の自分に何が足りないのかを自分で見つけて、そこに向き合ってほしい」と語った。

「僕はプロの世界をなめていました。1年目からプロの投手の投げる球をキャッチングうんぬんではなく、捕ることはできました。すごいボールだなと思ったことはないし、スローイングも自信がありました。でもその自信は、のちに大きな間違いだったと気づくことになります。

 このまま体力、スピードがつけば、やがてレギュラーを獲れる。そんな安易な考えでいました、一軍の試合でミスをしたり、打てなかったりしても『仕方がない。オレはまだ高校を出たばかりだから』という感じで......。ところが、2年経っても、3年経っても、思うようにならない。そこで『このままでは通用しない』と、ようやく気づいたんです」

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