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スカウトが言う「甲子園のホームラン
量産は危険なシグナル」の真意 (3ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 打者はカウントによる決め打ちで、「ストレートを待ってフルスイング」できる機会が増える。ストレートを待っているところにストレートがくれば、出会い頭もある。これもまた、普段は本塁打を打たないような選手が打てる要因と言える。

「運ぶとか、角度をつけるとか、技術で飛ばしてほしいよね。『ガンと打ったらスタンドに届きました』では、上で続かないよ」(セ・リーグ球団スカウト)

 かつて、横浜高校時代の近藤健介(現・日本ハム)は「真っすぐを待ってのホームランは打ったことがない」と言っていた。配球を読み、際どい球を見極め、カットなどで、狙い球を誘う。あえて相手の得意球を狙う。そういう技術で打ったホームランばかりだったのだ。

 思い出すのが、2001年夏の甲子園。150キロ右腕・寺原隼人(現・ソフトバンク)を擁した日南学園は、初戦で四日市工と対戦した。四日市工のエースは右のサイドスロー。強打の日南学園打線は4回まで0点に抑えられたが、5回に3連打などで3点。最終的に18安打を放って8対1で勝利した。

 技巧派の投手に対して、2巡目からは振り回さず、トスバッティングのような軽打に変更。試合中に対応した結果だった。それが、"引き出し"というものだろう。今は最初から最後まで同じ打撃をくり返して、「打てなかったら負け」というチームが多い。二死三塁とシングルヒットで点が入る場面でも、変わらずにフルスイングをする打者もいる。聞こえのいい、フルスイング、マン振りをキャッチフレーズにすることで、打撃に工夫をしなくなっているようにも感じる。

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