「選手強化しても勝てなかった」
立教大を18年ぶり優勝に導いたもの

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 100年近い歴史を誇る東京六大学野球連盟には6つの大学しか所属していない。他のリーグとは違って2部もないため、当然、入れ替え戦が行なわれることはない。常に、早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学、法政大学、立教大学、そして東京大学の間で優勝が争われる。だから、確率的には6シーズンに一度は優勝してもおかしくはないのだが、実力の世界ではそう簡単にはいかない。

東京六大学を制した勢いのまま全日本大学野球選手権も優勝した立教大東京六大学を制した勢いのまま全日本大学野球選手権も優勝した立教大 今春のリーグ戦で立教が優勝を果たしたが、これは1999年秋以来18年ぶりにして35シーズンぶり。今世紀初ということでも話題になった。もう2017年なのに、今世紀初である。立教大学野球部OBのひとりとして優勝は当然うれしいが、どうしてこれほど勝てなかったのかという疑問も出てくる。

 私が1986年に入部した当時も、立教は1966年以来、20年も優勝から遠ざかっていた。5位が指定席といった状況で、東大の後塵を拝することも珍しくなかった。私の同期には立教高校(現立教新座、1985年夏の甲子園に出場)のメンバーの他にも甲子園経験者がいたものの、2年生以上で甲子園に出た先輩はひとりだけ。全国から野球エリートが集結していた明治、法政にはとても対抗できる戦力ではなかった。ただそれでも、ドラフト候補揃いの強敵から幾度も勝ち星を挙げ、私が4年生になった1989年秋には23年ぶりの優勝を勝ち取ることができた。

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