春季大会にスカウトがゾロゾロ。
無名の右腕が関東屈指の本格派に変身 (2ページ目)
だが入学後は、成長軌道になかなか乗れなかった。
1年時は体重が思うように増えず、2年時から入寮する。白米を朝食で1キロ、夕食で1.2キロを摂るなどして増量を図った。「最初はみそ汁で流し込んでいました」と苦笑いするが、3カ月ほど経つとまったく苦にはならなくなった。昨夏の4回戦では勝田工を相手に完封勝利を果たすなど、最上級生となる秋はエース格と見られていた。
ところが夏の地方大会が終わり、練習試合シーズンが始まる直前のある日、洗濯物を抱えて急いで部屋に戻っていたところ転倒。慌てて手をついた先に運悪くガラスがあり、右手の甲に5針を縫うケガをして離脱を余儀なくされる。当然調整は遅れ、エースナンバーを付けることはなかった。
「去年までは 『謙虚さがない』と監督に注意されても素直に聞くことができませんでした」と遠藤は自戒を込めて振り返る。保育園で知り合い、小中高と同じユニフォームを着てプレーする遊撃手の木村翔大は、「遠藤は強気な性格。また誰とでもフレンドリーになれるタイプ」と人間性を評する。
その強気な遠藤に謙虚さがついてきたのが、この冬だ。高橋監督の期待を裏切ってしまったことや、自身のふがいなさに奮起し目の色を変えた。走り込みと食事の量を増やし、「自分の心に打ち克つ」ことをテーマに取り組んだ。
そうして体重が増え、下半身にも力がつき始めると、綾部翔(DeNA)、根本薫(オリックス)と2年連続でNPBへ送っている投手育成術のもと、球速やキレはぐんぐんと上がっていった。
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