春季大会にスカウトがゾロゾロ。
無名の右腕が関東屈指の本格派に変身
5月20日に開幕した春季高校野球関東大会。高校通算93本塁打の清宮幸太郎(早稲田実業)に注目が集まるが、地元開催となる茨城・霞ヶ浦高校の本格派右腕にもぜひ注目していただきたい。
関係者から評判は聞いていたが、「こんなにいいのか」と驚いた。春季茨城大会の1回戦。つくば秀英を相手に7点リードで迎えた7回裏、霞ヶ浦はマウンドに背番号10の遠藤淳志を送った。
目標とする投手はオリックスの金子千尋だという霞ヶ浦のエース・遠藤淳志 すると、身長185センチのすらっと長い手足から伸びのあるストレートを次々に投じ、決め球のスライダーなど変化球もキレよく曲がり、二者連続三振からのセカンドゴロで試合はあっさりと7回コールドで終わった。
「ボールも指にかかっていてダイナミック」「体ができてきたら球が速くなるとは思っていたが、ここまでになるとは」と、スタンドのNPB球団スカウトたちも賞賛と驚きの声を上げた。関東大会進出を決めた準々決勝の総和工戦では完封、決勝戦でも強打の明秀学園日立打線をリリーフで抑え込み、勢いに乗っている。
遠藤は茨城県土浦市の出身。土浦市立新治中軟式野球部では県南大会8強が最高で、選抜チームの選出経験もない無名の右腕だった。
だが土浦市大会を視察に来ていた霞ヶ浦の高橋祐二監督が「足を上げた時のスッとした立ち姿が良い」と目に留めた。男子バレーボール部の監督としても霞ヶ浦を全国大会出場に導いた経験がある同監督は、「骨格を見れば、長身になるかどうか分かるようになりました」と言い、当時180センチ前後だった遠藤も「まだ伸びる」と判断した。
強豪校から声をかけられるような選手ではなかった遠藤は驚き、「ワクワクしました」と二つ返事で進学を決めた。
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