【高校野球】甲子園まであと一歩。ノーシード日立一高、激闘の夏
「日立一高」野球部再建物語(後編)
2013年春のセンバツで21世紀枠の最終候補に残った日立一高。中山顕監督が呼んだ「外部アドバイザー」、皆川達郎と小池康裕によるセミナーの効果もあってか、同年夏も茨城大会ベスト8に進出する。だが、その後は上位に進出することができずにいた。
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水戸商戦後に談笑する日立一高の中山監督(写真左)と小池康裕氏
2013年秋 県1回戦敗退
2014年春 県1回戦敗退
2014年夏 県1回戦敗退
2014年秋 県1回戦敗退
2015年春 地区予選敗退(県大会に出場できず)
2014年からは父母会向けのセミナーもスタート。「公立校は、保護者も戦力にしなければ勝てない」という中山の考えからだった。しかし、日立一高に限らず、子どもを進学校に入れるくらいの保護者なら、必然的にプライドが高い人が多くなるものだ。手ごわい相手へのセミナーだったが、のちに小池はある保護者からこんな声をかけられたという。
「あなたのこと、正直に言ってなめてました......。でも今じゃ、中山監督と小池さんのファンですから!」
食事面など、保護者の手厚いサポートを受けられるようになったが、それでも日立一高はあまり結果を残せずにいた。2015年の5月には練習試合で関東一(東東京)と対戦したが、0対13で大敗している。唯一の収穫は、エース格の鈴木彩斗(2年)がどんなに打たれても泰然自若としていたことくらいだ。
また、静岡の強豪校・飛龍との練習試合で敗戦後、皆川はある選手を名指しで叱責する。やり玉にあがったのは、三塁コーチャーを務める小守彗太(こもり・けいた/3年)だった。
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