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清宮幸太郎、オコエ瑠偉......若き侍たちが挑む「初の世界一」 (2ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 そして、どうやら今回の高校日本代表の4番には、1年生の清宮が座りそうである。8月26日に行なわれた大学日本代表との試合では「4番・DH」で出場。これまでの野球人生で、意外にも清宮は公式戦で4番を打った経験がないという。

 初回二死三塁で回ってきた第1打席、相手の投手は大学ナンバーワンの呼び声高い155キロ右腕の田中正義(創価大)だった。前日、「未知の世界」と話していた田中のストレートを、清宮は腕をたたんでセンター前にはじき返す。

「4番ということで、燃える思いがあった。4番は中心選手ですから。(2点を先制され)流れを変えたかった」

 7月の西東京大会から注目を浴び続け、早稲田実業の5年ぶり甲子園出場に貢献し、本大会でも19打数9安打(打率.474)、2本塁打、8打点。その実力が本物であることを示すに十分な数字だった。当然のように1年生としてただひとり日本代表に選ばれ、合宿では木製バットにも順応し、近畿大での練習では柵越えを連発していた。

「ホームランは狙いません。チャンスで打点を稼ぎたい」と常々話す清宮は、チャンスで打席が回ることが多い。もちろん、クリーンアップとはそういうものなのだろうが、何やら不思議な力を感じてならない。1年生でかわいがられる存在ながら、グラウンドではふてぶてしい大物オーラを放つ。憎めない清宮だからこそ、「なんとかアイツにつなごう」という強い意識が早実のナインに、そして高校日本代表のナインにも芽生えるのかもしれない。

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