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常に大観衆を集めてしまう「清宮幸太郎の魅力」とは何か? (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 過熱する「清宮報道」に本人が潰されてしまうことを危惧する声があるのも確かで、その心情も理解できる。今大会の始球式を務めた高校の大先輩・王貞治氏も「お手柔らかに頼みますよ」と報道陣に異例の「要望」までしている。もちろん、報道する側のモラルと配慮は必要だが、清宮の取材対応を見ていると、もはや高校1年生の空気感ではないと感じる。

 報道陣からは西東京大会では出なかった「ホームラン」に関する質問が何度も出た。清宮はそのたびに、「ホームランへの意識は、そんなにないっすね。チームの勝利が第一なので、ランナーを還す自分のバッティングをしたいです」と、メディア受けしそうな調子のいい言葉は決して吐かなかった。

 ボール球は振らずに、甘く入ったコースを確実に仕留める。ホームランはその延長線上。「好球必打」のスタイルを大舞台でも貫く――。浮ついたそぶりをまったく見せない態度に感心しつつも、ひとつ気になることがあった。清宮の右腕が時折、小刻みに揺れていたのだ。甲子園デビュー戦を直前に控えての武者震いなのか、それとも......。

 早稲田実対今治西(愛媛)の第一試合。試合開始25分前に大会本部から「満員通知」が出て、甲子園球場は朝の8時から4万7000人の大観衆を飲み込んだ。

 1回裏、早稲田実の攻撃中。2番・玉川遼が打席に入った際にある違和感を覚えた。

 ネクストバッターズサークルで、清宮が座っていたのだ。

 西東京大会での清宮は、いつもネクストバッターズサークルに控えるときは立っており、ゆらゆらと揺れながら右手一本でバットを持って軽くスイングしていた。それが清宮のルーティンワークなのかと思っていたのだが、このときはなぜか座っていたのだ。

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