プロスカウトが見たセンバツ「特Aは高橋純平ただひとり」

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 高橋純平のセンバツ――。

 どのスカウトも口から出るのは県岐阜商・高橋純平のことばかり。あるスカウトのこの言葉が、すべてを表しているといってもいい。

「今年は全体的に高校生の候補は少ない。このセンバツに関しては、高橋純平だけが図抜けている印象です。2、3位候補になりそうな選手も少ないし、あとは下位指名でかかるかどうかという選手。ドラフト候補の数はいたけど、『指名はどうかな』という選手ばかり」

初戦の松商学園戦、2回戦の近江戦と2試合連続完封勝利を飾った県岐阜商の高橋純平初戦の松商学園戦、2回戦の近江戦と2試合連続完封勝利を飾った県岐阜商の高橋純平

 高橋は1位で競合必至だが、次にくる名前がなかなか挙がらない。これがスカウト陣の印象だった。

 大会前からマスコミの話題を独占していた高橋は、甲子園でも実力を発揮した。松商学園(長野)との試合の初回にいきなり150キロをマークしたが、「力みすぎていた」と試合途中で修正。カーブをうまく交える投球で許した安打はポテンヒットとバント安打の2本のみ。3回二死からはひとりのランナーも出さない完璧な投球を見せた。

「下半身の使い方がすでにプロです。いい球がいかない時はカーブを投げて修正するなど、頭もいい。近年話題になった投手でいうと、田中将大(駒大苫小牧→楽天→ヤンキース)、藤浪晋太郎(大阪桐蔭→阪神)、大谷翔平(花巻東→日本ハム)、安樂智大(済美→楽天)らはすべて全力投球し、スピードガンと戦っている感じがあったけど、高橋にはそれがない。プロのステージで活躍するためにはどうしたらいいかを考えてピッチングをしている。これが先の4人とは一線を画するところです」(パ・リーグスカウトA氏)

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