プロスカウトが見たセンバツ「特Aは高橋純平ただひとり」 (4ページ目)

　この大会で注目選手のひとりである仙台育英のエース・佐藤世那は、初戦の神村学園戦で６安打完封してアピールしたが、スカウトたちの評価は分かれた。

「テイクバックが大きすぎるかな……。もう少しコンパクトにするだけで、もっとキレも出るし、変化球の曲がりも良くなると思う。表示速度よりも打者は遅く見えていると思います。あの投げ方のままだと故障が心配。スカウトは自分が獲った選手がすぐに故障となるのを嫌うから、それで指名されないこともある」（セ・リーグスカウトD氏）

「楽天の則本昂大も大学生の時は、テイクバックの大きい投げ方で150キロを出していた。当時、ほとんどのスカウトが『あれじゃ無理』って言っていたけど、徐々に変わっていった。投げ方だけで切り捨てるのはもったいない」（パ・リーグスカウトA氏）

　この他にも何人かの名前は挙がったが、即プロというのは厳しいという。いずれにしても、高橋純平以外これといった逸材の少ないスカウト泣かせの大会だったようだ。だが、あるスカウトは次のように語っていた。

「選手がいないのを嘆いても仕方がない。こういう時こそ、スカウトの腕の見せどころです」

　春から夏にかけて急成長を遂げる選手もいる。夏の甲子園では、スカウトたちの嘆きを驚きに変えてくれる選手が出てくることを期待したい。