2014年ドラフトの主役がいっぱい。実力派揃いの大学生たち (2ページ目)
ライバルが同じリーグにいたことも、有原にとっては大きかったのではないだろうか。そのライバルとは、明治大の山崎福也(日大三高/左投左打)だ。187センチの長身から、常時145キロ前後の速球と、多彩な変化球を投げ込む左腕だ。100キロ台のカーブをはじめ、スライダー、フォーク、チェンジアップの変化球を持ち、しかもどのボールでもストライクが取れて、空振りも奪える。普段は優しいマスクの山崎だが、神宮のマウンドでは"鬼面"に変貌。気迫で打者を圧倒する姿は、内海哲也(巨人)そのものだ。
好調時のピッチングなら、法政大の石田健大(広島工業高/左投左打)も山崎と双璧の左腕と言ってもいいだろう。昨年、150キロに達した速球はクロスファイア-の球筋が鋭く、ホームベース上での生命力を持つため空振りが奪える。また、打者の手元で動くのは速球だけじゃない。スライダー、スプリットとも打者の近くで変化するため、見極めが難しい。すごいというよりは、打ちにくいタイプのピッチャーだろう。
東京六大学リーグと同じく神宮球場を主戦場としている東都大学リーグで頭角を現しているのが、亜細亜大の右腕・山崎康晃(帝京高/右投右打)。スピードガンの表示は145キロ前後だが、彼の速球はうなってくるような球質で、打者はタイミングを計って踏み込んでいるのに、インパクトの瞬間に差し込まれてしまう。変化球も多彩で、スライダー、チェンジアップ、フォーク、さらに高校時代に投げていたという魔球・ナックルにも磨きをかけているという。
それ以上に、心を打たれるのが彼の闘争心だ。ここ一番、特に1点も許されない場面で見せる、"覚悟"を決めたピッチングは圧巻。
「オレのボールを打てるヤツがいるなら出て来い!」
そんな心意気がマウンドでほとばしる。昨年秋の神宮大会で、3試合続けてリリーフでマウンドに上がった時の投げっぷりは、見事という表現では足りないぐらい凄まじいものだった。
野手では、駒沢大の外野手・江越大賀(長崎海星高/右投右打)。高校時代から俊足、強肩、強打の外野手として注目されていたが、大学3年の春あたりまでいい打球は左方向にしか飛ばず、ファウルになることもしばしあった。それが昨夏のジャパン選考合宿でレフトポール際に切れずに伸びていったライナーを目撃。そして昨秋のリーグ戦ではヤクルトに1位指名された国学院大の杉浦稔大のスライダーを神宮球場のライトスタインドに持っていった。つまり、インサイドのスイング軌道ができるようになったのだ。
守備でも、50メートル5秒台の足を生かした守備範囲と、センターからのスローイングの精度とボールの伸びはすでにプロ級。久しぶりにドラフト戦線に現れた三拍子揃った外野手だろう。秋山翔吾(八戸大→西武)のプレイバランスも魅力いっぱいだったが、当時の彼に加えてこの江越には、特にバッティング面において松田宣浩(ソフトバンク)のような野生的力感を持っている。
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