山川穂高、8番降格の屈辱に「ふざけるな」。2年越しで見えた明るい兆し「お尻がハマる感覚」

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

プロ野球2022開幕特集
西武・山川穂高インタビュー

 42年ぶりの最下位から捲土重来を期す今季の西武で、最大のキーマンが"4番"山川穂高だ。

 2年にもわたる不振にあえいだ2021年シーズン最後、山川にはひと筋の光明が差し込んだ。

「ピッチャーが投げた瞬間に振るぐらいのつもりで打っていたら、ちょうどタイミングが合って。何カ月も試合をしていなかったのでその感覚自体は消えているけど、理論的に言葉にできる感じで頭に残っているので大丈夫です」

フォームを入念に確認しながらスイングする山川穂高フォームを入念に確認しながらスイングする山川穂高この記事に関連する写真を見る 電話越しに明るい声が聞こえたのは、春季キャンプで紅白戦が始まり10打席ほど立った2月中旬だった。実際、3月2日に行なわれた巨人とのオープン戦では3打席とも充実した内容だった(2打数1安打、1四球)。

「2年かかって"前で打つ"に戻ってきました。僕の体の動きと、バットの長さと重さを考えたら、前で打つ以外になくて。ちょっとでも(ボールを呼び込んで)体の中に入れていたら、打てないことに2年かけて気づけました」

 前とはミートポイントのことで、大別すれば体の前で打つか、体の中まで引きつけてコンタクトするかに分かれる。同じスラッガーでも、山川やチームメイトの中村剛也は前者で、ピッツバーグ・パイレーツの筒香嘉智は後者だ。それぞれにメリットがあり、体の使い方によっても適性は変わってくる。

 山川がモデルチェンジを図ったのは、2019年オフだった。

「以前は自然にクセとして前で打っていたので、たぶん打てていたんですよね。過去2年、ポイントを引きつけようとしたのは、打率を残しているバッターは俗に言う"ポイントが近い"という表現に見えたからです。それをやりつつ、ホームランも増やしていきたいという欲があって。今は頭で、自分の体やバットがこうなったらダメだとわかっているので、あまり大きく間違えないだろうと思っています」

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