2022.03.16

館山昌平「俺はケガがなかったら…と言い訳する人をたくさん見てきた」。現代の投手育成法とケガの予防を考える

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Koike Yoshihiro

【短期連載】令和の投手育成論 第1回

 プロ野球のオープン戦もいよいよ本格化し、3月25日の開幕へ着々と準備が進められている。そのプロ野球から1週間早く熱戦をスタートさせるのが、高校野球のセンバツ大会だ。

 球界では新しいシーズンが始まるたびにニュースターが誕生し、同時にキャリアを終える選手もいる。2021年を振り返ると、NPBでは6人が任意引退選手となった。つまり自らの意思でユニフォームを脱いだわけだ。そのなかで、とくに大きな注目を集めたのが"平成の怪物"こと松坂大輔だった。

昨年10月、23年の現役生活にピリオドを打った松坂大輔昨年10月、23年の現役生活にピリオドを打った松坂大輔 この記事に関連する写真を見る

松坂大輔の引退試合に思う

 横浜高校時代に甲子園を沸かせた松坂は、高卒1年目からプロ野球を席巻。WBCでは日本代表を世界一に導き、メジャーリーグでもワールドシリーズ優勝を果たした。ところが、晩年はたび重なる故障に悩まされ、とりわけ2015年から日本に活躍の場を移すと、中日時代の2018年を除いて一軍のマウンドに登る機会は限られた。そして2021年10月19日、23年間のプロ野球人生に終止符を打った。

「大輔の引退試合を見て思ったのは、本来のパフォーマンスを出すにはあと半年はかかるのかなと。リハビリの過程なので、治るはずなんですよ。あそこがゴールではない」

 そう話したのは、"松坂世代"で元ヤクルトの投手、館山昌平だ。昨年5月頃に松坂と詳しく話し、状態を把握していたという。その時点から、ラストマウンドとなった日本ハム戦までをタイムラインで見ると、松坂は確実に前進し、肩周りの状態もよくなっているように館山の目には映った。

 やっぱり、あと半年はかかるのかな──。

 球速118キロ、ストライクをとるのに苦労する松坂の姿を見て、館山はそう思った。あと半年あれば、一軍のマウンドに戦力として戻ってこられるかもしれない、と。館山はそう想像しつつ、同時にプロ野球選手の"現実"が頭をよぎった。

「1年1年が勝負の世界なので、あそこがゴールなのかなと感じるところもありました。でも投げる姿を見て、『ああいうふうになってしまうんだ』とは思わなかったですね。最後のピッチングを見ても、よかった時の投げ方と構造的には変わっていません。少しずつ歯車の違いだったり、関節の位置だったり、いろんな問題が重なって、ああいうピッチングになったんだろうというのは、手にとるように見えましたし」