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【自転車】ツール・ド・フランス観戦を飽きさせないJ SPORTSのノウハウ (4ページ目)

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira  photo by AFLO

 一方、近年では人気漫画『弱虫ペダル』がアニメ化されて、従来の自転車ロードレースとは違う新たなファン層も呼び込みつつある。J SPORTSもアニメ映画『劇場版 弱虫ペダル』とコラボレートして、主要キャラクターを演じる声優たちをゲストに招くという試みも行ない、良好な手応えを得ているようだ。

 とはいえ、視聴者の大半はやはり長年自転車ロードレースに親しんできたファン層で、番組作りのうえでも彼らに対して新しいものを提供することを心がけているのだという。

「その意味では、まったくの初心者には少しハードルが高いかもしれません。初心者のことを考えるのはある時期でやめて、割り切るようにしたんです……といいながら、『弱虫ペダル』のコラボレーションのようなことも一方ではやっているんですけどね」

 そう言って升田氏は笑う。

「でも、『その高いハードルを越えてこいよ』という気持ちで待っているのが、今の我々の正直なスタンスです。興味を持ったら自分で乗り越えてくるくらいじゃないと、好きにはならないでしょうからね。つまらないと感じたらやめてしまえばいいんだから、少しだけ頑張って勉強しよう、と1回でも思ってほしいですね。少しでもロードレースのことをわかってきたら、3週間続く連続ドラマを毎日楽しめるんですよ。だから、早くこっちに入ってきちゃえばいいのに、といつも思うんです」

 2015年のツール・ド・フランスは、これから山岳ステージが連続し、マイヨ・ジョーヌを賭けた選手たちの激しい戦いが本格化する。3週間のドラマは、文字どおりに最大の山場を迎えようとしている。

(次回に続く)

著者プロフィール

  • 片山右京

    片山右京 (かたやま・うきょう)

    1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。

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