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【自転車】ツール・ド・フランス観戦を飽きさせないJ SPORTSのノウハウ (3ページ目)

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira  photo by AFLO

「たとえば野球やサッカーなどのボールゲームって、極端なことを言えば、音がなくても試合の流れやどっちが勝っているかということが何となくわかるんです。でも、自転車の場合はただ走っているだけだから、なんのこっちゃわからないんですよね。だから、その『なんのこっちゃわからない』ところに、『なにかがあるかどうかを見つける作業』ってすごく大変なんです。でも、ほとんどの場合はあまりないんですよ。そのときのフリートークタイムが、出演者さんは大変に苦労をされていると思います」

 だが、フリートークとはいっても、自転車レースの実況者はその道のプロで、ゲストも現役選手や元選手、チーム監督などがほとんどなので、まったく関係ない話に逸れてしまうようなことはないという。放送中に彼らが交わす「雑談」の内容はほとんどお任せ状態、と升田氏は説明する。

「たとえば『料理の鉄人』で、この食材は本来なら絶対揚げるんだけど、でも、2パーセントくらいは蒸す可能性がある、と。そういったようないろんな可能性を妄想でしゃべってもらって、『このチームはこういう戦略を考えているかもしれない』ということをずっと話し続ける。大いなる副音声、というような状態ですね。今のテレビ画面に出ている映像とはまったく関係ないけれども、何かしら自転車レースに関連した話の脱線がほとんどです。

 台本も、4時間の中継でA4用紙に2枚程度しかないんですよ。注意する内容も、『変なことは言わないでください』『人を傷つけるようなことは言わないでください』、そして、『我々はスポーツテレビ局だから、コアなファンをいい意味で裏切るように頑張ってください』としか言うことがないんですよ」

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