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【新車のツボ134】日産マーチボレロA30 、
街で見かけたら拝む......くらい幻の名車 (2ページ目)

  • 佐野弘宗●文・撮影 text&photo by Sano Hiromune

 A30が一見してタダモノでないオーラを放つのは、やはり、笑ってしまうほど大きく張り出したオーバーフェンダーだろう。

 ノーマルのマーチの全幅が1665mmなのに対して、A30のそれは1810mmもある。長さはほぼスモールカーのマーチのままなので、まるでミニ四駆かチョロQか......の異様な縦横比だ。しかし、それ以上に感動するのは、片側70mm以上も拡幅されたフェンダーが、樹脂部品の付け足しではなく、鉄板を1台ずつ"叩き出し"でつくっている点にある。これぞ職人集団のオーテックらしい仕事だ。

 その下のホイールもまたスゴイ。その中央部が異様なまでに陥没していることからも分かるように、タイヤの左右歩幅の拡大はホイール取り付け部の位置(専門用語でインセット)をずらして、ホイールを外側に張り出させること(だけ)で実現している。

 このホイールは当然のごとく専用の特別製で、なんと1本ずつアルミ塊を切削加工してつくられている。一般的な自動車用ホイールにはありえない製法だが、わずか30台分(1台あたり4本だから、予備を入れてもせいぜい合計150本以下!?)という超少量生産ゆえに、それがもっとも効率的でコスト的にも安い方法なのだ。......といったことは頭で理解しつつも、切削加工という言葉に脊髄反応で"萌え"るのがマニアのツボである。

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