上村彩子アナが語る北京五輪取材の感動。「ボロボロ泣いた」というフィギュアスケート選手の演技とは
連載『上村彩子 RUN SAEKO RUN!』
■TBSの上村彩子(かみむら・さえこ)アナウンサーが現場で取材した大会でのエピソードや舞台裏、インタビューしたアスリートの魅力や意外な一面などを伝えてくれるこの連載。今回は、2月に開催された北京五輪について。日本勢が躍動し、冬季五輪としては最多の18個のメダルを獲得した今大会。現地リポーターを務めた上村アナが、取材を通じて印象的だった場面を振り返ります。
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北京五輪を現地で取材したTBSの上村彩子アナウンサーこの記事に関連する写真を見る 北京五輪が全日程を終え、現地取材から帰ってきました。
大会期間中、私は氷上競技の担当で会場のある北京市内にいる日が多かったのですが、コロナ禍で厳格な「バブル方式」が採られ海外にいるはずなのに全然そんな気がしない、不思議な空間でした。ずっと高い塀の中にいて、移動手段である専用バスやタクシーでも窓は開けられない。他国のメディアが、バブル内の人々を「幸せな囚人」だと揶揄(やゆ)していましたが、その「囚人」という言葉が本当にしっくりくるくらい、選手や関係者の行動ルールは厳しかったです。
いつもの取材なら楽しみのひとつである食事も、今回は現地で中国の美食を味わうことができず。食べていたのはTBSのスタッフが用意してくれたレトルトカレーやカップラーメンがほとんど。なので、口内炎やニキビができたり、太ったり、謎の蕁麻疹ができた人もいましたね......。食堂で食べようにも、ゆでた麺にちょっと具が乗っているだけのラーメンで1000円するようなメニューばかり。正直に言えば、あまり食が進む料理はありませんでした。
外は極寒なので、温かくて甘いココアが飲みたくなるんですけど、売店にはコーヒーやカフェオレ、紅茶はあるけどココアはなくて。スーパーやコンビニ、カフェへは行けないので手に入れる手段がないんです。その時、「あぁ、今自分は囲われたなかにいるんだな」って実感しましたね(笑)。だからその分、帰国後、実家で両親が作ってくれたご飯がすごくおいしくて。日本食のありがたみを感じています。
さて、日本選手のたくさんの活躍が見られた北京五輪。全競技を通じて、アスリートたちの"挑戦"というキーワードが、今大会の大きなテーマだったように思えます。
スピードスケート女子で5種目に挑んだ髙木美帆選手は、疲れがたまったなかで出場した最後の1000mで、オリンピックレコードを出しての金メダルを獲得。スノーボード女子ビッグエアの岩渕麗楽選手は、成功すれば史上初の「縦3回転」に挑戦して世界に衝撃を与えました。着地には失敗しましたが、直後には各国の選手たちが駆け寄ってきて、岩渕選手のチャレンジを称えているシーンは感動しましたね。
現地での上村アナ。ビンドゥンドゥンの「雪だるま」と笑顔(写真=本人提供)この記事に関連する写真を見る
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