スポーツを言葉で伝えるイベントで、
平野早矢香が卓球の駆け引きを語る (5ページ目)
■卓球の見方が深まる「私が5回日本一になれた理由」
平野早矢香氏は、2008年の北京、2012年のロンドンと五輪に2大会連続出場。ロンドン五輪では卓球女子団体で銀メダルを獲得。全日本選手権の女子シングルスでは、3連覇を含む優勝5回と女子卓球界をリードしてきた。2016年に現役を引退し、現在は後進の指導にあたっている平野氏が、「私が5回日本一になれた理由」として、現役時代にプレー中どのような点を意識していたのかを明かした。
ロンドン五輪の卓球女子団体で銀メダルを獲得した平野早矢香氏「卓球においてプレーしている平均時間は(試合中の)19%しかありません。その(プレーしていない)間、選手はどのように過ごしているのか。前のプレーの反省をしたり、次の作戦を練ったり、あれこれ考えています、私が常に心がけていたことは、表情や仕草から相手の心を読むことです。ボールを打つパワーやスピード、テクニックなどに特徴のなかった私ですが、相手の情報を読もうと神経を研ぎすませていました」
そこで重要だったのが卓球というスポーツの特性だ。(卓球台の全長)2m74cmしかない相手との距離。これだけ近い距離だからこそ、わずかな仕草の変化も見ることができるのが、卓球というスポーツなのだ。
それでは実際に相手のどんなところを観察していたのだろうか。
「失点をしたときに、選手が素振りをしているシーンを見たことがありませんか。これは反省をしながら、頭のなかで確認作業をしているのですが、その仕草から相手の打ち方を想像し、対応してきました。たとえば、相手選手がフォアハンドで素振りをしているなら、あえてフォアハンドで打ちにくいコースに打っていこうと。素振りの角度や方向を見て、相手は何を狙っているのかを読んでいました」
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