マラソン五ヶ谷宏司、未来の自分への言葉は「東京五輪へ死ぬ気で取り組め」 (7ページ目)

  • 津金一郎●文 text by Tsugane Ichiro
  • 五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro

 秋口に出場するレースがNYCでもベルリンでもシカゴでも、ほかのどの大会になろうとも、目標はまずはタイムを残すこと。2時間10分を切れるタイムが出るだけの練習を積み、自信もあるけれど、これまで1度しか達成できていない。マラソンは年に2回か3回しかチャンスがなく、この2年間は1回の調整失敗が大きく響くと学んだので、今は目に見える結果を求めたい。僕のなかで決めている残された競技人生の時間を考えると、日本人1位という結果よりも、いま必要なのはタイム。そこをクリアして、次のステップに進みたい。

 毎年、毎年、箱根駅伝に出場した選手たちが新たに実業団に入るたびに、押し出される形で競技生活を諦める選手もいる。4人いた同期はみんな競技を離れ、大学時代の仲間で走っているのは僕だけになった。そうしたなかで、高校時代はインターハイにも高校駅伝にも出場したことがなく、大学でも箱根駅伝に出ることが目標で、世界で戦いたいと夢見たことさえなかった僕が、今こうしてオリンピックという舞台を目指すことができている。

 チームに環境を整えてもらい、ニューバランスの手厚いサポートを受け、家族に応援してもらって競技に専念できている。競技者として、これほど幸せなことはない。それだけに、やるべきことは決まっている。いろんな人たちの想いを背負って、それをプラスの力に変えて、2020年まで走り抜けたい。

 1年後、2年後に2020年東京五輪を目指している僕に言葉をかけるなら「死ぬ気で取り組め」だけですね。練習のときから「本当に120%出し切ったのか」と問いたい。今まで僕はいつだって苦しい状況でも直面する課題に死ぬ気でぶつかり、限界を超えてきたし、それが僕らしさだから。箱根駅伝出場が目標だったありふれたレベルの選手が、この道を歩めていることの幸せを忘れずに、ひたむきに競技人生のゴールに向けて進んでいきたいですね。

A LETTER TO MY FUTURE SELF
未来のワタシ(ボク)へ
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