柔道・新添左季の『ハイキュー‼』愛が深すぎる「パリ五輪はクロが言っていたごほうびタイム」 (4ページ目)

  • 坂口功将●文 text & photo by Sakaguchi Kosuke

――その1本があってから、寝技への考え方も変わりましたか?

「『どうして今まで使ってこなかったんだろう』と思いました。それ以降、寝技で勝つ試合もありますし、自分の中で少しずつ身についている実感はあります。ですが、まだまだ『寝技が強い』とまでは言えませんし、日々の練習を頑張っています」

【「五輪はごほうびタイム」】

――そうして迎える、初めてのオリンピック。昨年の世界選手権を制して内定は出ていましたが、そこからの約1年間はどのような気持ちで過ごしていましたか?

「どうしても私はマイナス思考なので、初めは『私じゃダメな気がする』と思ったりして、眠れない夜もありました。ですが、そんな不安も次第に消えていきましたし、何より周りの方々から応援の声をいただき、『この人たちのためにも頑張りたい』と思えるようになりました。試合当日を迎えるまで、五輪がどんな舞台か想像もつきませんが、いつもどおりに臨むのが一番なはず。『特別だ』と思い込みすぎず、自分をコントロールしたいです」

――同じパリ五輪では、応援しているバレー女子日本代表と共に選手団に名を連ねます。

「ネーションズリーグの日本大会はずっとテレビで観ていました。出場権を獲得した時は、自分もチームの一員であるかのような気持ちで叫びましたよ。

 私は、古賀紗理那選手が好きなんです。同い年なんですが、そうとは思えないくらい責任感が強くて、常に声を出して、コミュニケーションを取っている。それに、素人目で見てもわかるくらいテクニックがすごい。全部ひっくるめて、ひとりのアスリート、ひとりの人間として尊敬しています。

 体の線も細いのに、スパイクの威力がすごいじゃないですか。引退を発表されたそうですが、体脂肪率や筋肉量とか、いろいろ聞いてみたいですね(笑)。味の素ナショナルトレーニングセンターの食堂でお見かけしたことがあるのですが、遠くから見られるだけで十分。それが私の"推し"への距離感です」

――パリ五輪という舞台へともに挑みます。目標を聞かせてください。

「金メダルを獲る。そして、バレーチームにもいい風を吹かせたいです。『ハイキュー!!』でいえば、クロ(黒尾)が言っていた『ごほうびタイムだ』ですね。ここにくるまでに、数えきれないくらい練習も試合もやって、しんどいことをたくさん経験してきたので。『五輪はごほうびタイム』と思って、後悔のないように100%を出しきりたいです」

【プロフィール】
新添左季(にいぞえ・さき)

1996年7月4日生まれ、奈良県出身。自衛隊体育所属。女子70kg級で段位は四段。2023年のドーハ世界柔道選手権大会で優勝を飾り、パリ五輪に内定。今回が初めての五輪出場となり、メダル獲得に期待がかかる。なお、バレーボールをするならポジションは「セッター。『(レシーブを)アタックライン付近に上げてもらえれば十分です』と言って、さらっと難しいトスを上げて、周りが賞賛しても何事もなかったような顔で次のプレーに向かいたい」とのこと。

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