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「不眠との戦い?」 起業の本質に触れてたじろぐ高校野球部の生徒たち (4ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【環境整備よりメンタル】

奥野「そう、この『競い合う』というのが実は大事で、幕末から明治維新にかけて嵐のように吹き荒れた尊王攘夷の風は、志士を育てる環境としては重要な役割を果たしたのだとは思うのだけど、何よりも大事なのは、この競い合うことだったのではないか、とも思うんだ。

 だから鈴木君が言うように、政府が起業しやすい環境を整備することについて、まったく無意味だとは思わないよ。そういう周りの環境から影響されて、起業家に育っていく人がいるかもしれない。

 経済産業省が始めた『J-StarX』のように、今後5年間で1000人規模の起業人材を、米国西海岸など世界中に派遣するプログラムも実際に始まっていて、これによって多少は、起業家として成功する人も出てくるかもしれないね。

 ただ、本当に起業したいという人は、政府の後押しなんかなくたって、きっと起業するはずなんだよ。徒手空拳でも、自分は絶対に起業して成功してやるぞ、と思える人物は、情熱もさることながら、周りと競い合って、その競争の中で勝つことの喜びを知っている。だからスポーツを通じて、戦い、勝つことを学ぶのは、すごく意味があることなんだ。どれだけ厳しい局面でも、不撓不屈(ふとうふくつ)の精神で臨む。そのメンタルを育てることのほうが、環境整備よりも重要かもしれないね。

由紀「やっぱり起業家ってすごいんですね。私自身、起業するかどうかわからないけど、そこまでの情熱を持って何かしようという気持ちになれるかしら」

奥野「ただ、これからの会社員は、起業するくらいの情熱と主体性を持たなければ、会社員としてでさえも成功できないかもしれないよ。

 なぜ日本の経済が30年以上も停滞したのかっていうと、原因のひとつは、会社員の多くが『働かされマインド』になってしまったからだと思うんだよ。そこから脱却するためには、自分で主体的に働くことが大事であって、そのためには情熱が必要になってくるのだろうね。

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