投資教育が始まった高校の野球部生徒が専門用語に悪戦苦闘 投資を理解するうえで重要な「ストックとフロー」とは?

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

この記事に関連する写真を見る奥野一成のマネー&スポーツ講座(27)~ストックとフロー

 野球部の顧問を務めながら、家庭科の授業で生徒たちに投資について教えている奥野一成先生から、経済に関するさまざまな話を聞いてきた3年生の野球部女子マネージャー・佐々木由紀と新入部員の野球小僧・鈴木一郎。前回は「リスクとリターン」という、投資教育の現場で実際に使われることがある用語について教わった。株式をはじめとする投資について、ますます興味を募らせるふたりだった。

鈴木「よく『高めの甘いボールはホームランを打たれるリスクがある』なんて言ってるけど、投資の世界では『低めの厳しいボールはホームランを打たれないリスクがある』っていう言い方もするってことでしたね」
由紀「......そうだっけ? でも、私たちが日常で使っている『リスク』と、経済用語の『リスク』の意味がちょっと違うということはよくわかったわ」
鈴木「ほかにもそういうことってあるのかな?」

 ふたりは再び学校のパソコンの画面をのぞき込み、高校生に向けて作られた投資教育用のサイトに目をやった。そこには「まずはじめに」として、基本的な投資の用語の解説が書かれている。

鈴木「『ストックとフロー』っていうのがあるけど、これはどういう意味だろう」
由紀「辞書的に言えばストックは『貯蔵』とか『在庫』。フローはフローチャートって言葉があるけど、『流れ』という意味かしら」

「やはり『ストックとフロー』も、投資や経済の世界ではよく使われる言葉だね」と言って、奥野先生が会話に加わってきた。投資用語について、3人の会話が続く。

奥野「投資をするうえで、『リスクとリターン』の関係は誰もが理解しておくべきことなんだけど、それと同じくらい大事なのが、『ストックとフロー』の関係なんだ。よく『貯金はするけど、投資はしたくない』って言う人がいるんだけど、そういう人の多くはストックとフローの意味を、しっかり理解できていないケースが多いような気がする。だから、君たちが株式投資も含めて資産形成をしていくことを考えているならば、ストックとフローの関係性をしっかり整理して覚えておくといいよ」

鈴木「はい、頑張ります!」

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