投資教育が始まった高校の野球部生徒が専門用語に悪戦苦闘 投資を理解するうえで重要な「ストックとフロー」とは? (2ページ目)
【ラーメン店のストックとフロー】
奥野「じゃあまず、基本的なことから押さえておこう。
君たちがラーメン屋さんを始めるとしようか。普通は店舗を借りたりするんだけど、今回はわかりやすいように、自分で土地を購入して、そこに店舗を建てたという前提にするよ。土地と店舗を建てるのにかかった費用は3000万円。
そのうえで、調理器具や食器を揃える。これらにかかったお金が100万円。準備が整い、お客さんを入れてラーメンを作る。
ラーメン1杯にかかる原価は600円としよう。これを800円でお客さんに出す。この日、来たお客さんは100人だとすると、この日の売り上げは8万円。
さて、これらをストックとフローに分けてみようか。
ストックは『資産』になるものを指すんだ。要するに、ラーメン屋さんとして売り上げをあげ続けていくのに必要なものだね。したがって、土地や店舗、調理器具や食器、はすべてストックに分類される(実際には土地以外は、減価償却費として分割して費用計上される、つまりフロー扱いされます)。
これに対してフローは、『一定期間中に流れた量』のことだから、売り上げと費用の差し引きで生じた利益がフローに該当するんだ。つまり、600円の原価でつくったラーメンを800円でお客さんに出して、これに客数をかけた8万円が売り上げになり、2万円の利益が計上されたから、この日のフローは2万円。同じ状態が20営業日続けば、フローは40万円になる」
由紀「でも、お客さんが来ない時だってありますよね」
奥野「そう。フローはマイナスになることもある。食材を6万円分(100杯分)仕入れて、1杯800円のラーメンを75杯出せばペイするわけだけれども、ある日は天気が悪くてお客さんが50人しか来なかったら、売上は800円×50杯=4万円。つまり2万円の赤字になるから、フローは2万円のマイナスになる。
あ、それと計算上、少し面倒だから、調理する人の給料も原価に入れておくことにしよう。
で、日々のラーメン屋さん経営で、ある日は利益が出て、ある日は赤字になって、ということを繰り返して20営業日が経ち、月の最後に締めたら30万円の利益が出たとすると、この月のフローはプラス30万円になるんだ。この30万円は純粋なお店の利益だから、それを使って新しいメニューを開発してもいいし、月々の利益を貯蓄して、将来、もう1店舗を出す時の準備金にしてもいい」
鈴木「なるほど。で、投資を教わることと『ストックとフロー』はどう関係するんですか」
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