投資教育が始まった高校の野球部生徒が専門用語に悪戦苦闘 投資を理解するうえで重要な「ストックとフロー」とは? (4ページ目)
たとえば100万円の現金を預金に預けていて、そのうち50万円を株式に投資したとしよう。投資する前のストックは、預金が100万円だけなんだけど、株式に投資した後のストックは、預金が50万円と株式が50万円に変わるだけのことで、50万円がお財布から消えてなくなったわけではないんだよ。
でも、なぜかここを混同している人が多くて、株式に投資したお金もどこかに消えてしまっていると勘違いしているんだ。この勘違いがあるから、なかなか株式投資にお金が回らないということは、言えるのかもしれないね。
この、ストックの中身を変えるってことが、結構これから、大事になってくるんじゃないのかな。
日本人の多くは、ストックの大半を現金・預金で持っているんだけど、たとえば将来的に物価がさらに上昇するってことになると、現金・預金だけでは物価上昇分を上回る運用収益を得ることができなくて、ストックの価値が実質的に目減りしてしまう。
だから、インフレに負けないように、現金に集中しているストックの一部を、株式などに変えておく。つまり、現金の形を株式に変えておくことによって、インフレに対して強い耐性を持ったストックに生まれ変わるんだ」
【profile】
奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社(NVIC) 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2014年から現職。バフェットの投資哲学に通ずる「長期厳選投資」を実践する日本では稀有なパイオニア。その投資哲学で高い運用実績を上げ続け、機関投資家向けファンドの運用総額は4000億を突破。更に多くの日本人を豊かにするために、機関投資家向けの巨大ファンドを「おおぶね」として個人にも開放している。著書に『教養としての投資』『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』『投資家の思考法』など。
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