投資教育が始まった高校の野球部生徒が専門用語に悪戦苦闘 投資を理解するうえで重要な「ストックとフロー」とは? (3ページ目)
【株式も貯金もストック】
奥野「では、これを株式投資にたとえるとどうなるか。
たとえば1株1000円の株式を1000株購入したとすると、株式に投資した金額は100万円だよね。で、1株につき10円の配当金を受け取ったとしよう。これをストックとフローに分けると、ストックは株式に投資した100万円で、フローは配当金ということになる。
したがって、フローは10円×1000株で1万円。1万円のフローを生み出すための資産、つまりストックが、100万円で投資した株式という関係になるんだ。だから、株式のことを英語で『ストック』って言うんだよ。
じゃあ、1株1000円で買った株式が1200円に値上がりしたところで売ったとしようか。この場合、100万円で投資した株式が120万円になったところで売却して、20万円の利益を確定させたことになるから、この20万円がフローに計上される。
逆に、1000円の株価が800円に値下がりしたところで売却したら、100万円が80万円になって20万円の損失だから、フローは20万円のマイナスになるんだ。
鈴木「株式がストックということは、その株式を買うための貯蓄は何になるんですか」
由紀「いやいや、貯蓄だってストックですよね、先生」
奥野「そう。株式を英語でストックというのは今も話したとおりなんだけど、貯蓄もストックです。そして、日本人の多くは、なぜかストックを、現金でたくさん持っていたりする。ストックは現金だけでなく、株式もあれば不動産、あるいは金(ゴールド)などのコモディティもあるんだけど、現金をガッチリ抱え込んでいたりするんだ。
個人のストックが現金に集中している理由のひとつは、株式投資に対する、ある種の誤解があるからなんだと思う。それは何かというと、株式に投資することと、たとえば映画を観てお金を使うことを一緒くたにしてしまっているってことなんだ。
いちおう自分のお財布からお金が出ていくという点では同じなんだけど、映画を観るのに払ったお金は、そのまま消えてしまうよね。
でも、株式に投資したお金は、確かに一旦、お財布から出ていくんだけど、それは消費されるものではなくて、持っているお金の一部を株式という形に変えただけにすぎないんだ。
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