学校単位の部活どころか高校そのものがなくなる? 先が見えない日本の少子化問題を考える (5ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

 ところが、日本はこれまで子供を増やす政策を、まったくといっていいほど行なってこなかった。由紀さんが言っていたように、保育園を増やす、あるいは男性が育休を取りやすくするといった施策は打ち出されているのだけれども、それで本当に子供を増やすことができるのかを、冷徹に考える必要があるだろうね。正直なところを言えば、子供を増やしたら税制メリットが得られるくらいのことをやらないと、人口減少に歯止めをかけるのが難しいと思うよ。

 ただ、仮に税制メリットを打ち出して、子供を産むことのインセンティブを設けたとしても、人口減少と少子化に歯止めをかけるには、子供を産み、育てなければならないから、やはり20年くらいの時間がかかってしまう。その間、日本経済が沈まないようにするためには、鈴木君が言うように、移民政策についてもしっかり考える必要があるだろうね」

奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社(NVIC) 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2014年から現職。バフェットの投資哲学に通ずる「長期厳選投資」を実践する日本では稀有なパイオニア。その投資哲学で高い運用実績を上げ続け、機関投資家向けファンドの運用総額は4000億を突破。更に多くの日本人を豊かにするために、機関投資家向けの巨大ファンドを「おおぶね」として個人にも開放している。著書に『教養としての投資』『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』『投資家の思考法』など。

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