学校単位の部活どころか高校そのものがなくなる? 先が見えない日本の少子化問題を考える (4ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【子供を増やすことに必死になった欧州】

奥野「今、鈴木君が言った移民政策なんだけど、これは日本においてなかなか本格導入するところまでは行っていない。結構、日本人にとってはアレルギーの強い政策なんだね。

 とはいえ、これは後で少し詳しく触れようと思うんだけど、やはり日本も移民政策を真剣に議論する時期にはきていると思う。

 じゃあ、どうやってフランスなどが合計特殊出生率の低下を抑え込んでいるのかについてだけど、これはもう2.00を割り込んだ1975年から、ありとあらゆる手を尽くして、少しでも出生率を上げようと努力をしてきたからなんだ。

 たとえば税制。日本だと所得税は個人に対して課税されるので、共働き家庭の場合、夫と妻のそれぞれに対して課税されるんだけど、フランスは「N分N乗方式」といって、課税所得を世帯で合計して家族の人数で割り、税率を掛けてひとり当たりの税額を算出した後、その額に家族の人数を掛けて世帯が払う税額を決めるという方法が用いられている。簡単に言うと、課税所得を家族の人数で割って決めるため、子供が多い世帯ほどより低い税率が適用されることになるんだ。

 もっと言うと、日本は結婚しなければ税制の優遇が受けられない税体系になっているんだけど、フランスの場合、結婚しなくてもパートナーとして、結婚したのと同様の税の優遇を受けることができる。だから婚外子といって、両親が結婚しないで生まれてくる子供の割合が、非常に高いんだ。

 日本の場合、婚外子の割合は2020年の数字で2.4%なんだけど、フランスは61.0%にも達している。スウェーデンが54.5%、イギリスが48.2%、アメリカでも40.0%。日本では、結婚していない男女が子供をつくることに対してタブー視する傾向が強いのだけれども、グローバルに見れば、『結婚しなければ子供をつくってはいけない』なんてことは、チャンチャラおかしいわけ。そのくらい世界、特に出生率が低い先進国においては、子供を増やすことに必死なんだ。

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