学校単位の部活どころか高校そのものがなくなる? 先が見えない日本の少子化問題を考える (2ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【多くの問題の根源になっている少子化】

奥野「そうなんだ。総務省が発表している生産年齢人口の数字をベースにして、総人口に占める生産年齢人口の割合を年代別に並べてみると、こうなる。

1960年・・・・・・64.12%
1965年・・・・・・67.97%
1970年・・・・・・68.90%
1975年・・・・・・67.72%
1980年・・・・・・67.34%
1985年・・・・・・68.16%
1990年・・・・・・69.49%
1995年・・・・・・69.41%
2000年・・・・・・67.92%
2005年・・・・・・65.81%
2010年・・・・・・63.27%
2015年・・・・・・60.02%
2020年・・・・・・59.15%

 ちなみに2020年のデータは推計値なんだけど、生産年齢人口は1990年の69.49%をピークにして、どんどん低下しているのがわかるだろう。これも推計値にすぎないけど、2050年になると生産年齢人口の比率は51.51%まで低下してしまうんだ。

 人口が減ると、世の中から全体的に活気が失われてしまうというのは、何となくわかるよね。働き盛りは消費盛りでもあるから、生産年齢人口の比率が高いと、どんどん働いて付加価値を創出し、給料がどんどん上がるので消費も活性化されるんだ。

 ところが、人口が減っていく社会では、これとは逆の現象が生じてしまう。当然、経済は活況を失い、ヘタをするとデフレ色の強い経済になってしまう。

 日本の年金の仕組みは、生産年齢人口の人たちが保険料を払い、その一部と過去積み立てた分から高齢者への年金が支払われている。つまり生産年齢人口の比率が低下すると、現役で働いている人たちひとりあたりの社会保障負担が重くなっていく。社会保険、年金といった社会保障費は、給料のなかから確実に持っていかれてしまうので、純粋に消費に回せる額が減ってしまい、消費が落ち込んでしまう。

 他にも、ネガティブな影響ならいくらでも挙げられるよ。たとえば現場で働く人の確保がとても難しくなる。

 昔、建築現場で働くのは、アルバイトも含めて若い人が中心だったけど、今は建築現場で働いている人の高齢化が深刻になっているし、タクシーや運送業界も同じ。外食産業も、特に若い人たちのアルバイトで支えられていたような働く現場では、仕事がうまく回らなくなる恐れがある」

鈴木「でも、国だっていろいろ少子化対策と称して何か手を打っているんですよね」
由紀「認定こども園とか企業主導型保育事業とか、女性だけでなく男性も産休を取りやすくするとか、いろいろな対策を打っているように思えるんですけど......」

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