「部活動の地域移行」でスポーツはどうなる? 山積する教育現場の問題を考える (4ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

奥野「学校で学ぶことの一番は、確かに勉強なのだけれども、社会に出た時にもっと大事なのは、他人とのコミュニケーションのとり方だったりする。チームワークを学んだり、一緒に汗を流して試合に勝つ喜びを味わったり、それによって目標を達成することの大事さを知る。そのためには部活動が一番適しているんだ。

 そういうことを学校でしっかり子供たちに教えることに、学校の存在意義があるんだと思うのだけれども、だからこそ安易にそれを地域のスポーツクラブや外部指導者に丸投げするのは、どうなのだろうという疑問が残るね。なぜなら、今回の『運動部活動の地域移行』の内容を見る限りにおいて、単に先生のキャパがいっぱいいっぱいだから外出しをするというようにしか見えないから。

 でも、少子化で生徒が減っているという現実を見据えれば、部活動の外出し、合同練習などもさることながら、全国規模で小中学校の統廃合は進まざるを得ないだろうし、使われなくなった学校施設をどう利活用していくのかなど、教育の現場において考えていかなければならないことがたくさんあることを実感するね」

【profile】
奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社(NVIC) 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2014年から現職。バフェットの投資哲学に通ずる「長期厳選投資」を実践する日本では稀有なパイオニア。その投資哲学で高い運用実績を上げ続け、機関投資家向けファンドの運用総額は4000億を突破。更に多くの日本人を豊かにするために、機関投資家向けの巨大ファンドを「おおぶね」として個人にも開放している。著書に『教養としての投資』『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』『投資家の思考法』など。

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