「部活動の地域移行」でスポーツはどうなる? 山積する教育現場の問題を考える (3ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

学校の統廃合は進まざるを得ない

奥野「そうなんだよ。学校の先生にはなりたくないって人が今、どんどん増えているような気がする。昔は学校の先生というと、結構な威厳があって、子供からすればちょっと怖い存在だったのだけれども、今はどちらかというと、親しみやすい先生が生徒から好かれる時代だよね。

 しかも、生徒にきつく言おうものなら、すぐに『パワハラだー!』などと言われて、モンスターペアレントが登場してくるわけだから、先生の心労は察するに余りあるんだ。そういうブラックな職場環境なのだから、『何が何でも先生になりたい』という若い人が減るのは当然のことだと思う。

 ちなみに、これは人から聞いた話なんだけど、公立の学校の教師の平均的な偏差値が下がっているそうなんだ。昔は学校の先生といえば国立大学の卒業生が主流だったけれど、最近は国立大学卒業者の割合が減り、最近は偏差値50前後の私立大学の出身者が増えているというデータがある。

 また、文部科学省の調査だと、小中高など学校全体の2020年度の採用試験倍率は3.9倍。前年度(4.2倍)を下回り、ピークだった2000年度の13.3倍から右肩下がりが続いている。『広き門』になったことが質の低下を招いているという議論もあるんだ。『貧すれば鈍す』ではないけれども、1990年以降、日本経済が30年にわたって低迷するなかで、先生の学力まで下がってしまったのかもしれない。

 じゃあ、どうしたらいいのか、ということだけど、正直なところを言うと、学力の低い先生に数学や国語を教わっても、どうしようもない。だから授業こそ外出しするべきじゃないだろうか。それこそ『今でしょ!』の林修先生にお願いして、全国規模でインターネット授業をしてもらうほうが、よほど子供の学力は向上するんじゃないかと思う。たとえば、学校の教科を教え上手な外部の講師に委託してしまうんだ」

鈴木「あ、それなら授業に興味が持てるかも」
由紀「でも、学校の授業を外部に委託したら、学校で何を学べばいいんですか」

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