「部活動の地域移行」でスポーツはどうなる? 山積する教育現場の問題を考える (2ページ目)
教育の現場で何が起きているのか
奥野「今は学校の先生が部活の顧問をしていたりするけれども、これも3つのパターンに変えていくことが提言されているんだ。それは、
1 地域スポーツクラブ等に移行する
2 外部指導者が部活動を指導する
3 教員が『兼職兼業』として報酬をもらい指導する
ということなんだけど、まさにこれは社会問題のひとつと言ってもいいのかもしれないね」
鈴木「他校との合同練習って楽しいけどね~」
由紀「でも、合同練習が当たり前になったら、他校と合同チームができるようになるのかな・・・・・・」
奥野「まあ、当面は休日だけの対応だから、いきなり他校と合同チームということにはならないと思うのだけれども、部活地域移行は、さまざまな社会問題が生じている結果、生まれてきたものと考えることができる。
まず少子化の問題。子供の数が減っているから、スポーツの種類によってはチーム編成ができなくなることも考えられるんだ。たとえばサッカーは最低11人のレギュラーが必要だし、野球は9人でしょ。校内試合をやろうと思ったら、サッカーだと22人が必要になる。
けれども、文科省の学校基本調査によると、中学校の1クラスあたりの平均生徒数は27.23人。最近は4クラスで1学年というところが多いから、生徒数は1学年で100人前後。男女が半々だとすると、男子が50人。3学年で男子生徒数が150人。このうち22人がサッカー部への入部を希望するのかというと、それはやはり厳しいよね。
しかも、これからもっと子供の数が減るなんてことになると、団体競技はますますチーム編成が難しくなっちゃう。将来は複数校が合同でチームを編成するなんてことが普通になるかもしれないね。
もうひとつは、自分で言うのもなんだけれども、学校の先生ってかなりのハードワークなのです。日本の中学校教師の1週間の仕事時間は、OECD(経済協力開発機構)の調査によると56時間で、平均の38.3時間を大きく上回っている。
ところが、この56時間のうち授業に使う時間は18時間で、部活動などの課外活動や事務業務に費やす時間が圧倒的に多いんだ」
由紀「教師って、仕事として見るとブラックなんですね」
鈴木「俺、先生になりたくないかも......」
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