アルゼンチン人監督が席巻のコパ。決勝はビエルサの弟子対決に

  • 三村高之●文 text&photo by Mimura Takayuki

 コパ・アメリカ準決勝のカードは、地元チリ対ペルー、アルゼンチン対パラグアイだった。この4チームの監督はいずれもアルゼンチン人。コロンビアのペケルマンを含め、現在南米では5人のアルゼンチン人が代表を率いている。

母国アルゼンチンとの決勝に挑むチリ代表サンパオリ監督母国アルゼンチンとの決勝に挑むチリ代表サンパオリ監督 アルゼンチン代表のマルティーノ監督は、90年代初頭にビエルサ監督(現マルセイユ)に率いられたニューウェルスがリーグ優勝2回、コパ・リベルタドーレス準優勝したときの選手だった。自他ともに認めるビエルサの直弟子だ。しかしビエルサがほとんど選手に自由なプレイを許さなかったのに対し、マルティーノはそれを緩和するなど、独自色も出している。

 南米ではビエルサ信奉者が多いが、一日の大半の時間は試合のビデオを観て、エル・ロコ(クレージー)のあだ名で呼ばれるほどサッカーに没頭するところまでは、なかなか真似できない。しかし頑固で一種偏屈なチリ代表のサンパオリ監督は、エル・ロコの部分では最もビエルサに近い。

 2006年にペルーのコロネル・ボログネシでサンパオリの指導を受けた前柏レイソルの澤昌克(現ムニシパル/ペルー)によると、練習時間のほとんどが選手の動き方の指導に費やされていたという。チリ代表はビエルサによって復活し、南アフリカW杯に出場。その後、協会の新会長との軋轢で辞任したが、チームにはビエルサイズムが浸透している。ビエルサ原理主義者のサンパオリにとって最高の環境といえる。

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