パリオリンピックで12年ぶりの復活劇 鈴木聡美が語る「30代で自己ベスト更新」の理由 (3ページ目)
【「もっとできたことがあった」という思い】
――パリの競泳会場は、水深が通常の3メートルより80センチ浅い2.2メートルだったことも話題となりました。海外の選手からはクレームもあったようですが......。
「海外の選手は背も高いので、気になった選手もいたようですが、私は特に気にすることなく、プールはプールですし、『へぇ、そうなんだ』って感じで、気持ちを乱されることはなかったです。もちろん、それがわかったのが大会の数日前だったので、もう少し早く情報があれば、とは思いましたけどね」
――年齢を重ねるなか、パリ五輪だけでなく、たとえば23年には50メートルの自己記録を4度更新するなど、好調を維持しています。その要因は自身ではどう分析されていますか。
「いろいろと経験はしてきましたが、私の場合は、考えたところでわからないことが多い。性格的には悩めば悩むほど考えこんでしまい、ネガティブで解決できないタイプですので。だから、悩むことすら馬鹿馬鹿しく感じていて、もう考えることをあきらめてしまったというか......。そういう意味で、監督やトレーナーの手のひらの上で、いい意味で転がされているのがいいのかなと思っています(笑)」
――泳ぎについて、あまり自己分析はされないのですか。
「ふだん細かい分析はそこまでしません。もちろんレースであれば、予選、決勝でどんな泳ぎだったのかは即座にフィードバックできるように、頭のなかで何があったか考えを巡らせてはいますが......。なぜフィードバックするかというと、どんなに監督やトレーナーから客観的な視点でアドバイスをもらっても、泳ぐ本人が自分の状態を理解していないと、進歩がないからです。
レースでタイムが悪ければ、誰だって落ち込むと思います。ただ、なぜダメだったかがわかれば改善は可能ですし、わからなければいつまでも引きずってしまいます。だから、あまり深く考えていない私でも、レースで泳いだ感覚だけは常にフィードバックするようにしています」
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