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メダリスト松田丈志の現地ルポ。
「五輪と世界水泳は何が違うのか」 (4ページ目)

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi photo by Insidefoto/AFLO

 また、指導する平井伯昌コーチはすでに東京五輪を見据え、新たな取り組みを進めている。それは高地トレーニング期間中に一度平地に下りてレースをし、また高地に戻るというものだ。すでに金メダルを5つ獲らせたコーチだ。自分の「鉄板」パターンを持ちながら、新たな挑戦を続けるその貪欲さは流石の一言だ。

 400m個人メドレーに関しては、ここで紹介した萩野、瀬戸、カリシュに加え、今回の世界選手権開催地ハンガリーのダーヴィド・ベルラスト選手を加えた4強対決と思われる。

 母国開催の国際大会はやはり「本気度」を上げてくれる。ハンガリーは水泳大国だ。五輪の通算金メダル数ランキングでは日本よりひとつ上の4位で、これまでに28個を獲得している。ハンガリーは伝統的にタフな種目に強く、それは今回の日本選手がメダルを狙える種目とも被っている。男女400m個人メドレー、男女200mバタフライなどだ。日本人選手がメダルを狙うこれらの種目でのハンガリー選手の活躍も気になるところだ。

 ここでは男子400m個人メドレーを中心に語ったが、他にも楽しみなレースがたくさんある。そのひとつひとつにここに記したような、選手やコーチのストーリーがある。私も現地からそれらを少しでもわかりやすく皆さんにお伝えできたらと思う。

 最後に日本代表選手たちにメッセージを送りたい。

 それは「キャリアを作りにいけ」ということだ。これまで述べてきたように、五輪後の世界選手権は新たな4年間のスタートで、選手のパフォーマンスに多少バラつきがあるものだ。その分チャンスもある。しかし一方で、プロとして競泳で生計を立てている選手も増えており、そのバラつきは年々少なくなってきているのも確かだ。

 言わずもがな、選手は結果がすべてであるから、ここで結果を出すことによって自らのステージが上がっていく。キャリアとはその積み重ねだ。ひとりでも多くの選手がチャンスを掴みとり、自らのステージを上げる大会になってほしい。それが私たちの母国開催の2020年東京五輪、2021年世界水泳福岡に繋がっていくと思う。

※web Sportivaでは世界水泳期間中、松田丈志さんの現地ルポをお届けします。乞うご期待。

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