元代表・伊藤華英が世界水泳で注目する、あの「美人スイマー」の強み

  • 市來孝人●文 text by Ichiki Takato
  • photo by Tsukida Jun/AFLO SPORT

 元競泳日本代表で、北京、ロンドンと2大会続けてオリンピックに出場した伊藤華英氏。現役引退後は競泳選手のメンタルタフネスを研究し、早稲田大学で修士課程修了、順天堂大学では博士課程を修了し、博士号を取得している。

 まもなく開幕する世界水泳(競泳)を前に、これまで蓄積してきたノウハウを言語化すべく、スポーツを伝える"言葉"を探求するライブ・イベント『A.L.E.14(エイル・フォーティーン)』(6月20日、東京・恵比寿アクトスクエアにて開催)に登壇した。

今年4月に開催された日本選手権400m個人メドレーで日本新記録で優勝した大橋悠依今年4月に開催された日本選手権400m個人メドレーで日本新記録で優勝した大橋悠依■速く泳ぐにはどうすればいいのか?

 まず伊藤氏は、よく聞かれるという「どうすれば速く泳げますか?」との質問について、次の2点を挙げた。

「きれいなストリームラインをつくる」
「水をつかむ感覚を養う」

「ストリームラインというのは"けのび"のことです。これがきれいにできていれば、速く泳ぐことができます。そしてもうひとつ、トップ選手の何を見ておくべきかというと"キャッチ"です。手を水面につけたときのことをエントリーといい、そこからさらに手を前方に向かって真っすぐ伸ばすとキャッチになります。このとき、水をつかむという表現をするのですが、これがスムーズにできる選手は強い。たとえば、池江璃花子選手は手が入水したときに泡が出ないんです。このテクニックは世界レベルだと思いますので、注目してほしいと思います」

 日々、水をつかむ練習をしている選手たちは、プールの水が軟水か硬水かもわかる。「今日の水、硬いね」という会話を選手同士ですることもあるという。ヨーロッパのように硬水が多い地域(日本は軟水が多い)では、タイムはいつもと変わらなくても、疲れ具合が違ったりするそうだ。今年の世界水泳の舞台はヨーロッパ(ハンガリー・ブダペスト)。会場となるプールの水は硬水なのか、それとも軟水なのか。それによって対策も変わってくる。

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