元代表・伊藤華英が世界水泳で注目する、
あの「美人スイマー」の強み (2ページ目)
■強い選手がよく口にする言葉とは?
そして伊藤氏が選手の強さを見極める上で注目しているのが"メンタルタフネス"だ。
「最初に世界の舞台に立ったのが、16歳のときでした。それから27歳まで日本代表の一員としていろいろな経験をさせていただきました。その間、私が最も影響を受けた人が、大の親友であり、最高のライバルだった寺川綾選手。綾とは、年齢が同じで、専門種目も背泳ぎで一緒。身長もほとんど一緒だったと思います(笑)」
唯一、違っていたのは、寺川選手は「絶対に勝ちたい」という強い気持ちをメディアの前で話すということだった。そんな寺川選手を尊敬しつつも、伊藤氏はそういった強い思いを人前で言うことができなかったという。
「『なぜそういうことが言えないのだろう』と考えているうちに勝てなくなり、周りからは『精神的に弱い』と言われるようになったんです」
精神的に弱いというのは、どういうことなのか? 現役時代にいろいろと悩んだ経験から、引退後、同じ悩みを持つアスリートの役に立てたらと、メンタルタフネスに向き合い、博士号も取得した。
研究過程において、競泳個人種目の五輪メダリストである鈴木聡美選手、入江陵介選手、萩野公介選手、寺川綾選手、松田丈志選手、立石諒選手、星奈津美選手の7人にヒアリング。すると、「練習の経験をもとに自分自身の力を信じること」と、「逆境や困難に直面しても、前向きな気持ちでいること」という2つの内容の発言が圧倒的に多かった。
伊藤氏は「自分自身を知り、どれだけ競技に向き合えるかが大事」という。世界水泳でも、インタビューなどから伝わる選手の発言に注目してみると、その選手の強さが見えてくるかもしれない。
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