2017.07.23

メダリスト松田丈志の現地ルポ。
「五輪と世界水泳は何が違うのか」

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi photo by Insidefoto/AFLO

世界水泳短期集中連載・「キャプテン」松田丈志の目線(1)

 リオ五輪から1年、東京五輪まであと3年。4年ごとのオリンピックのカレンダーの中で、4分の1の時間が過ぎた。

 この1年、どんな時間を過ごしてきたのか? その答え合わせとなる競泳の世界選手権が明日から始まる。

 私が最も注目しているのが、男子400m個人メドレーだ。昨年のリオ五輪で萩野公介選手が金メダル、瀬戸大也選手が銅メダルを獲得した種目だが、今回のこの種目は、王者のプライドと挑戦者の勝利への欲求、母国開催の選手の思いがぶつかり合うレースになるからだ。

順調な仕上がりを見せる瀬戸大也

 まず、「五輪と世界選手権の違い」について話しておきたい。五輪を4回、世界選手権を5回経験させてもらった人間としてストレートに言うならば、その違いは「全員が本気かどうか」だ。

 4年に一度の五輪はアスリートにとって最高の舞台で、五輪はすべての選手が「本気」でやってくる。だから五輪は特別な舞台となる。一方、不思議に聞こえるかもしれないが、世界選手権は全員が100%本気かというと、そうとは限らない。当然すべてのスイマーが努力し、真剣にトレーニングを積んではいるが、その本気度が100%なのか98%なのか90%なのか。これは結構バラつきが出るところだ。

 また、世界トップレベルの選手とコーチは、それぞれ自分たちのいわゆる「鉄板」のトレーニングプランを持っている。これをやれば、ある程度の成果は見込める、というものだ。しかし、次の五輪を見据え、この五輪後の1、2年で「新たな取り組み」をする選手やコーチも多い。次の五輪に向けより高い目標を持つ選手とコーチほど、変化の必要性を感じて常に試行錯誤しており、あえて「鉄板」のトレーニング法を封印している可能性もある。五輪をひとつの区切りにトレーニング環境を変える選手も多い。

 この「本気度」の違いと「新たな取り組み」の含みがあるのが、今回の世界選手権だ。五輪という同じゴールにみな向かっているが、スタートラインとそこへのプロセスは、人それぞれということだ。