心に広がる「北島ロス」の喪失感。北島康介のリオ挑戦は突然終わった (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 二宮渉●写真 photo by Ninomiya Wataru

「最後まで自分の攻めのレースができたんじゃないかと思うし、五輪へ行きたいという気持ちをもう一回持って、僕の中でも頑張りきれたという思いはあるので晴々したというか、やり切った感はあります。でも結果を見るとすごく悔しいね。ずっと2分8秒台を想定してトレーニングをしてきたのに、2位の渡辺一平が2分09秒45だったし。細かく見ればいろんな意味で悔しい気持ちがフツフツ湧いてくると思うけど、最初から五輪で終わるかこの日本選手権で終わるかというのは決めていたことだし、ある程度の覚悟は持って取り組んできたつもりなので......」

 すべてを終わってみると、「惜しかった」という気持ちが強い。大会初日からの100mでは、午前の予選を1分00秒07でトップ通過すると、夜の準決勝では前半の50mを27秒95で入る積極的な泳ぎをして派遣標準記録を0秒01上回る59秒62で1位になっていた。その時点では「明日の決勝では確実に五輪代表を決めるだろう」と、誰もが思っていたはず。

 ところが決勝では前半の50mを小関に0秒18遅れる28秒17での通過。後半の50mで必死に小関を追いかけて2位でゴールしたものの、結果は59秒93。派遣標準を突破できず、五輪代表の座を逃してしまった。

「何とも言えないというか、積極性に欠ける自分らしくない泳ぎをしてしまったね。もちろん前半は27秒台で行くつもりだったけど、ちょっと泳ぎにこだわり過ぎたというか、自分のスピードを過剰評価し過ぎていた部分もあるとも思う。何か泳ぎのテンポも遅かったし、何とも悔やみきれないようなレース展開になってしまった」と北島は話した。

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