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【シンクロ】王国復活への第一歩。縮まった中国との差 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by YUTAKA/AFLOSPORTS

 現在64歳の井村コーチはすぐに厳しい指導に着手し、チーム再生に取り組んだ。朝から晩まで12時間以上に及ぶ練習、特に1日7時間の筋力トレーニングを課して緩んでいた気持ちと身体を鍛え上げたという。まだ5ヵ月の強化だったが、選手たちはその成果を発揮することができた。デュエットでも銀メダルを手にした乾は「勢いのある演技ができ、練習の成果が出せて良かった。これからもっともっと強くなって上を目指したい気持ちが出てきた」と、"井村マジック"に絶大の信頼を寄せる。

 その井村コーチは語る。

「指導し始めたときと比べたら、パワーとスピードがついてきたが、まだまだ足りない。最初は(身体が)ふにゃふにゃすぎて注意もできないほどだったが、いまでは演技に堅さ(切れ味、シャープさ)が出てきた。昨年まではじっくりと見ていないので分からないが、今年から私が指導するようになって日本チームが生まれ変わったと評価をしてもらえたらいい。このアジア大会で世界の審判員に印象づけられたら、第一歩としては良かったと思う。まだ短期間ですが、(日本チームは)たぶん変わったと思う。フリールーティンでは、最後のブリッジのリフトでエネルギー切れが見えたが、いま持っている日本チームの力は出し切れたので良かった。昨年と今年ではルールが変わっており、だいたいマイナス2点くらいを見ていたので、昨年と同じ92点台が出たのは進歩している証拠です。中国との点差がつまっているということは評価していい。今後、(私の)強化策を立てることができれば、日本シンクロも大きな変身ができるはずです」

 今回、各国のシンクロ関係者からは「あなたがついたらまた日本は強くなるね」と、言われたという。

「その期待感を持ってもらうことは重要です。採点競技ですから。ただ本当に上手にならないと期待感も続かないですから、とにかく走り出したところなので、『日本がどんどん上を目指していける予感がするチームであるという印象をこのアジア大会とワールドカップ(10月・カナダ)で残していこうよ』と、選手たちに伝えました」

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