【水泳】勝利を自信に変えて。萩野公介が見せた底力

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by(C)Yuya Nagase/PHOTO KISHIMOTO

9月特集 アジア大会2014の発見!(12)

 アジア大会3日目の9月21日から行なわれている競泳。個人6種目に出場した注目の萩野公介は、自身の専門種目である個人メドレーで圧倒的な力を見せて快勝と、ワールドクラスの力を証明した。

400m個人メドレーで4つ目の金メダルを獲得した萩野公介(右)と銅メダルを獲得した瀬戸大也400m個人メドレーで4つ目の金メダルを獲得した萩野公介(右)と銅メダルを獲得した瀬戸大也 ひとつ目は22日の200m個人メドレー。最初のバタフライでは「少し手前からターンを意識して顔をあげ過ぎてしまったのでストロークが短くなったのか、タッチが合わないミスをしてしまった。もう1ストローク増やせば良かったかもしれない」と反省するが、50mは2番手に0秒24差をつけて折り返した。

 得意の背泳ぎでも28秒98のベストラップで泳ぎ、2位に上がった藤森太将に1秒44の大差をつけた。平泳ぎでその差を2秒47差まで広げると、最後の自由形では50mをただひとり27秒台前半で入る27秒42で悠々と泳ぎ切り、自己新でありアジア新記録の1分55秒34で優勝した。

 これは世界ランキング2位のライアン・ロクテ(アメリカ)に0秒68差をつける今季1位の記録。

「1分54秒台は細かいミスもあって出なかったけど、こういうこともあるんだなと思いました。ただ、そういう状態でも55秒台前半がコンスタントに出せるようになっているので、54秒台も見えてきたし多分すぐに出ると思います」と自信を深めた。

 そのあとに行なわれた800mリレーでも2泳を務め、中国の主力の孫楊(ロンドン五輪200m2位、400m優勝)が欠場したこともあり、全選手中最高の1分44秒97のラップタイムで泳ぎ、独泳状態を作って優勝の原動力になった。

 そして24日の400m個人メドレーでは、前日の400m自由形で孫楊と競り合った疲労もあったせいか、これまでと違うレーススタイルを見せた。

「昨日のレースの疲労は意外とありましたね。朝の予選でタッチした瞬間に4分18秒77というタイムを見てちょっとガッカリしてしまいました。連戦の疲れが出ていて体も重かったけど、最初のバタフライが55~56秒で泳いでいると思ったのに57秒07だったので、ちょっとヤバいかなと思って......。トレーナーさんたちにも『今日は厳しいかもしれない』と言っていたんです。だから決勝は気持ちだけは負けないようにして。あとはフォームさえ崩さなければある程度のタイムは出せると思ったので、泳ぎを崩さずいいレースをしようとだけ思っていました」

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