2014.09.27

【水泳】入江陵介がこだわった「記録への挑戦」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by (C)Takao Fujita / PHOTO KISHIMOTO

9月特集 アジア大会2014の発見!(17)

 アジア大会で、金メダル2個、銀メダル2個を獲得した背泳ぎの入江陵介。

 2012年ロンドン五輪後に調子を落とし、昨年は世界選手権で個人のメダルを獲れず、椎間板ヘルニアを発症するなど、どん底を味わっていた。そんな状態から今年は復活の兆しを見せている。

今年に入ってから好調を維持している入江陵介 今年4月の日本選手権では、100mは高速水着時代の日本記録に0秒33まで迫る52秒57を出し、200mも1分53秒91の好記録で2冠を達成。野外で競技が行なわれた8月のパンパシフィック選手権でも、100mでロンドン五輪優勝のマット・グレバーズ(アメリカ)を破って優勝と結果を残した。

 そんな入江が、今大会最大の目標にしたのは記録だった。五輪も世界選手権もない中間年の今年、世界のライバルと優劣を争うのは試合ではなく記録だと考えたのだ。 

 アジア大会競技初日の9月21日に入江は、その決意通りの泳ぎを見せた。100mに出場した彼は、前半の50mを自身が持つ日本記録の通過タイムとほぼ同じ25秒61で泳ぎ、徐嘉余(中国)に次ぐ2番手で通過すると、ターン後は難なくトップに立ち、スルスルと差を広げて52秒34で優勝。その記録は09年に高速水着で出した自身の日本記録に0秒10まで迫り、5月に徐が出していた今年の世界ランキング1位の記録に並ぶものだった。

「徐が前半から行くのは予想通りだったが、自分の泳ぎに集中していたので後半どう追い上げたのかはわからなかった。昨日までの練習ではなかなかスピードが上がらなくて不安はあったけど、これまでのノーマル水着のベスト52秒5を一気に52秒3まで縮められて、目標だった世界ランキング1位を実現できた」

 こう話す入江は、翌22日は50mに出場して3位になると、25日にはパンパシで悔しい思いをしている200mに臨んだ。