【水泳】萩野公介、400m個人メドレー金で雪辱を果たす (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 ところが夕方からの決勝は、昼過ぎに一時小降りになっていた雨が再び強くなり、気温も16度まで下がる厳しい条件の中でのレースに。ライバルとしては瀬戸やカリシュだけでなく、11年世界選手権400m個人メドレー2位で12年ロンドン五輪200m背泳ぎ優勝のタイラー・クラリー(アメリカ)もいた。

 その中で萩野は、最初のバタフライで浮き上がりから2番手につけた隣の瀬戸を数十cmリードすると、「バタフライの調子は事前合宿から良くて、泳ぎを変えてきたのがやっとハマッた感じで、いい感触で入ることが出来ました」と振り返った。その言葉通り、自身が持つ4分07秒61の日本記録のラップタイムを0秒27上回る56秒05で入り、2番手の瀬戸を0秒14リードした。

 その後は「背泳ぎの最後で泳ぎがバタバタしてしまったのと、平泳ぎで脚の引きがちょっと早くなってしまったイメージがあった」と言うが、300m通過時点では2番手に上がったクラリーに1秒60の差をつけた。自由形ラスト50mではクラリーに若干追い上げられながらも、0秒72差の4分08秒31で初優勝を果たしたのだ。

「今回一番狙っていたのは400m個人メドレー。それも大幅な自己記録更新だった」という萩野。目標は以前から口にしている4分4~5秒というタイムだった。12年ロンドン五輪でライアン・ロクテ(アメリカ)が出した、非高速水着の世界最高記録4分05秒18を意識してのものだ。それに加え、「今回は調子がいいから、自分が納得する泳ぎをすれば間違いなくいい結果になると思う」と自信を持っていた。

 そう考えると目標達成とはいかなかった萩野だが、「タイム自体には満足していないしもう少し出したかった。このコンディションだから何とも言えないけど、内容としては力を出し切るようなレースが出来たと思うし、泳ぎ方としても間違っていないと思う」と納得した様子でレースを振り返った。

 また、「やっと国際大会で君が代を聞くことが出来て、世界大会ではなくてパンパシだけど、勝てたというのは良かった」と笑顔を見せた。

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