【箱根駅伝2026】黒田朝日の圧倒的強さとメンバーの経験不足――青学大はいかにして戦うのか? (3ページ目)
【山の特殊区間は1年生の秘密兵器!?】
そしてもうひとつ、今年の青学大は5区、6区でどれだけの結果を残せるのか、という疑問は依然として残っている。
やっぱり、前回までは強かった。4年間で3度、山を上った若林宏樹(区間記録保持者)、そして下りで快走した野村昭夢(現・住友電工)のふたりが抜けた穴は大きい。若林は1時間09分11秒で上り、野村は超速の56分47秒で下っている。この両区間は、経験がモノをいう。一度走れば最短の"経済コース"を取ることができるし、メンタル的な備えも可能だ。
原監督は、「山には1年生の秘密兵器を用意してます」と話しており、5区の候補として松田祐真(大牟田)、上野山拳士朗(和歌山北)といった新人の名前が耳に入ってくるが、果たして誰が起用されるだろうか。
また、6区については4年生の佐藤有一が夏場から意欲を示しており、「野村さんの記録をターゲットにしていきたいです」と抱負を語ってくれた。佐藤は全日本の5区でも区間4位でまとめており、安定した力を発揮することだろう。
ただし、前回の若林・野村の両輪は強力すぎた。前回と比べ、5区、6区の2区間で少なくともプラス2分半は見積もっておかなければならないのではないか。
ライバルとなる駒大、中大、國學院大、そして山上りに前回区間2位だった工藤慎作(3年)を擁する早稲田大が、青学大に対して特殊区間でどのような仕掛けをしていくのか、優勝に向けて最大のヤマ場となるだろう。
青学大が山で守勢にならず、主導権を握れるようであれば、総合優勝の確率は高まる。
著者プロフィール
生島 淳 (いくしま・じゅん)
スポーツジャーナリスト。1967年宮城県気仙沼市生まれ。早稲田大学卒業後、博報堂に入社。勤務しながら執筆を始め、1999年に独立。ラグビーW杯、五輪ともに7度の取材経験を誇る一方、歌舞伎、講談では神田伯山など、伝統芸能の原稿も手掛ける。最新刊に「箱根駅伝に魅せられて」(角川新書)。その他に「箱根駅伝ナイン・ストーリーズ」(文春文庫)、「エディー・ジョーンズとの対話 コーチングとは信じること」(文藝春秋)など。Xアカウント @meganedo
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