【箱根駅伝2026】早稲田大が15年ぶりの総合優勝へ本気モード 主将エースと "山の名探偵"を中心に「個」が成長 (2ページ目)
【間違いなく前回よりは強い】
指揮官の言葉にあるとおり、今季の早大は"個"の活躍が際立っていた。駅伝主将の山口智規は、日本インカレでは日本人で初めて1500mと5000mの2種目で学生日本一に輝いた。さらに、日本選手権には1500mで出場し2位と健闘した。そして出雲駅伝では2区で9人抜きの活躍。臙脂の襷を先頭まで押し上げ、大学駅伝で初めて区間賞を獲得している。
山口智規と両輪をなす工藤は、ロードで存在感を示した。2月の日本学生ハーフマラソン選手権(香川丸亀ハーフと併催)では、従来の日本人学生最高記録を上回る1時間00分06秒で優勝を飾り、7月のワールドユニバーシティゲームズでは学生世界一の称号を手にしている。そして、全日本大学駅伝では、最終8区でOBの渡辺康幸氏が持っていた同区の日本人最高記録を30年ぶりに塗り替えて区間賞に輝いた。"山の名探偵"のニックネームがすっかり定着しているが、平地でも他を圧倒してきた。
そして、注目のルーキー、鈴木と佐々木は入学してすぐにトラックで活躍を見せた。
5000m高校歴代2位の13分25秒59を持つ鈴木は、5000mを中心にレースに出場し、学生個人選手権2位、関東インカレ2位と実績を重ねた。そして、日本選手権では予選で青学大のエース、黒田朝日(4年)にも先着し、決勝進出を果たした(決勝は10位)。すっかり主力の風格があり、駅伝では1年生にして重要な局面を担い、きっちりと結果を残している。
佐々木は3000m障害でシニア勢とも堂々と渡り合い、アジア選手権で日の丸をつけて4位。日本選手権も3位と健闘した。今やこの種目の日本のトップ選手のひとりだ。出雲駅伝でさっそく大学駅伝デビューを果たした。
さらに、1年時に箱根駅伝で3区3位と活躍した山口竣平(2年)が、一段成長した姿を見せてきた。4月の織田記念陸上では5000m13分32秒53の自己ベストをマーク。5月の関東インカレは8位に入った。日本選手権にも初出場を果たしている。駅伝シーズン開幕を前にケガをし、出雲、全日本と欠場したが、箱根には間に合う見込みで、花田監督もキーマンのひとりに挙げている。
圧倒的な個を軸にしたチームづくりが形になってきたからこそ、今季の早大は"5強"に数えられる。
このほかにも、前回6区で区間5位と好走した山﨑一吹(3年)がおり、特殊区間の目処が立っているのは大きい。また、3年連続1区を担ってきた間瀬田純平(4年)も、秋以降ぐんぐん調子を上げてきている。
「山の上り、下りを終えて、どこまで貯金が作れるかが、私たちが優勝を目指すうえでは大事になる」と花田監督が言うように、早大が総合優勝を成し遂げるには、往路優勝は絶対条件と言っていい。さらに、6区を終えた時点でいかにアドバンテージを作れているかが重要で、そのプランを遂行する布陣は整いつつある。
となれば、総合優勝への鍵は7区以降となる。
「前回は18人、19人目ぐらいまでわりと競っていましたけど、今回は前回よりもわりとすんなり16人が決まりました。ただ、今回のほうが上の選手が非常に力がある。10人を組むとなった時には、間違いなく前回よりは強い」
花田監督はこのように手応えを口にしている。
今季、出雲、全日本と両駅伝を走った吉倉ナヤブ直希(2年)、堀野正太(1年)は、おそらく箱根でも出番がありそうだ。
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