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【箱根駅伝2026】創価大・榎木和貴監督「目標の3位(以内)を達成すれば、来季はその上を目指すところにいける」 (3ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun

【気になる箱根の区間配置】

――出雲の6人組が主に往路区間を担い、終盤の8区、9区、10区は中間層の競争で決めるイメージでしょうか。

「今回の箱根は6区、7区が非常に重要だと考えています。全日本で駒澤大が6区(伊藤蒼唯・4年)、7区(佐藤圭汰・4年)、8区(山川拓馬・4年)の後半3区間にエースと主力を置きましたよね。その区間に強い選手がいると、前の選手は安心して走れるんです。箱根ではそれが6区、7区になると考えています。

 また、以前、(パリ五輪10000mに出場した創価大OBの)葛西(潤)が4年生の時、本当は4区で起用したかったのですが、ケガ明けで7区に置いたんです。あまり期待せずに起用したわけですが、爆発的な走りで区間賞を獲り、流れを大きく変えてくれました。復路は7区がキーになると思うので、6区に新たな人材を置きつつ、7区には主力を配置するプランを考えています」

 往路の5区間はおそらく出雲6人組の選手たちが担うことになるだろうが、区間配置は悩ましい。世田谷ハーフで優勝した山口は昨年は5区だったものの、今季は平地でも勝負できる力を身につけた。ただ、ムチーニも復調していて、2区に入る可能性がある。

――2区と5区の人選については、どう考えていますか。

「2区については、スティーブンが1年の時に1時間0643秒で走ったのですが、当時は10000mの持ちタイムが28分そこそこで、その時よりは走力が上がっています。仮に彼が2区に入るなら昨年の響ほどのタイム(1時間0543秒)までは求めませんが、悪くても1時間0630秒、上振れして1時間06分ひとケタ秒ぐらいでいければ、"つなぎの2区"としては上出来です。5区に関しては、昨年、山口が走りましたが、彼は平地でも十分走れますし、野沢も山を上れます。今のところ、山口についてはふたつの区間を想定しています」

――エースとして期待する選手は誰になりますか。

「現時点では、昨年の響のようにエースと呼べる選手はいません。出雲、全日本を見ても、まだ流れを変えられる走りを見せた選手はいないので、今回の箱根までにエースをつくることは難しいですが、来年のチームのエース候補は小池、山口、織橋かなと思っています。彼らがそういうエース的な存在になればチームにとっては大きいですし、他大学にとっては脅威になります。来年、13分台の選手が入ってくるので、彼らの勢いに負けないように成長して、エースになってほしいですね」

――今回の箱根駅伝はかなり熾烈なレースになりそうですが、創価大の目標はどこに置いていますか。

「3位(以内)です。ただ、青山学院大、駒澤大、國學院大は安定して強いでしょうし、ほかには中央大も選手個々の能力が高くて、どっちに振れるか蓋を開けてみないとわからない怖さがあります。あと、帝京大が強い。勢いがあり、もともとの力もあるので怖いですね。そういうチームがいるなかでの往路優勝は少し欲張りかなとも感じるので、3位をしっかり達成したい。これができれば再来年の箱根は、その上を目指すところにいけると思っています」

Profile

榎木和貴/えのきかずたか
1974年6月7日生まれ。宮崎県立小林高校では全国高校駅伝で区間賞を獲得。中央大学では箱根駅伝で4年連続区間賞に輝き、3年時にはチーム14回目の総合優勝に貢献した。卒業後は旭化成に入社し、2000年別府大分毎日マラソンで優勝。2004年に沖電気陸上競技部コーチに就任。その後、トヨタ紡織陸上競技部コーチ、監督を経て、2019年に創価大学陸上競技部駅伝部の監督に就任すると、1年目の箱根でチーム史上初のシード権獲得、2年目で往路優勝、総合2位に導いた。

著者プロフィール

  • 佐藤俊

    佐藤俊 (さとう・しゅん)

    1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)、「箱根5区」(徳間書店)など著書多数。近著に「箱根2区」(徳間書店)。

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