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中島佑気ジョセフは「45秒の壁」を超えてからがすごかった 44秒台連発で「陸上競技の核に触れられている」 (5ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi

【技術を改善すれば勝手に43秒台は出る】

「ある意味、自信家というか、すごい未来志向というか......。自分のポテンシャルが発揮された時には、たぶん周りの人が考えているよりも、はるかに上をいくパフォーマンスができるだろうなって思っていました。

 現実を見つつも高い目標を自分にセットしたからこそ、自分もそれに引っ張られたというか。『自分で思ったことは自分で成就させる』って思ってやってきました」

 困難に直面した時にも、決して目標を見失うことはなかった。そのメンタルの強さこそが中島の大きな武器なのだろう。遠回りすることがあっても、自分が照準を定めた地点になんとかたどり着いた。

 世界のファイナリストになった充足感はもちろんある。だが、23歳の中島はまだまだ進化の途中。ここで足を止めるわけにはいかない。

「ようやく陸上競技の核の部分に触れられているというか、そういったプロレベルの段階にようやく一歩を踏み入れたぐらいです」

 驚くべきことに、そんな言葉を口にする。

 来たる2026年は、名古屋で開催されるアジア大会の優勝はもちろん、陸上競技の世界最高峰シリーズ戦「ダイヤモンドリーグ」での優勝も目標に掲げている。さらには9月にハンガリー・ブダペストで初開催される世界陸上アルティメット選手権では「3位以内を目指したい」と言い、世界のトップスプリンターとして確固たる地位を確立させることが目指すべきところだ。

 それには43秒台の記録が必要になってくるが、そこに到達するための道筋は、すでに中島の頭のなかにある。

「スピードの絶対値はほかの選手に比べたら低いですし、コーナーリングなどの足首の使い方もまだまだ。技術的に追求する余地はたくさんあるので、そういったところを改善すれば勝手に(43秒台は)出ると思いますね」

 大風呂敷を広げるような発言でも、これまで実現してきた。それだけに、中島ならやってくれそうな気がする。その先の北京世界陸上やロサンゼルス五輪に向けて、まだまだ中島の快進撃は続きそうだ。

<了>

◆中島佑気ジョセフ「私服」フォトギャラリー>>


【profile】
中島佑気(なかじま・ゆうき)ジョセフ
2002年3月30日生まれ、東京都立川市出身。小学生から陸上を始め、城西大附城西高を経て2021年に東洋大へ。2023年・2024年に日本選手権400m連覇。2024年パリオリンピックでは4×400mリレーに出場し、決勝でアジア新記録をマークする。2025年の世界陸上(東京)では400m予選で44秒44の日本新記録を樹立。決勝にも進出して6位入賞を果たし、1991年世界陸上の高野進(7位)を上回る日本人過去最高順位を残す。富士通所属。身長192cm。

著者プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

【写真】中島佑気ジョセフ「私服」フォトギャラリー

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