中島佑気ジョセフは「45秒の壁」を超えてからがすごかった 44秒台連発で「陸上競技の核に触れられている」 (4ページ目)
【いつしか44秒台を神格化してしまった】
中島は単位をほぼ取得済みだったこともあって、大学4年時の11月から卒業までの5カ月間、安藤財団の支援を受けてUSCでトレーニングを積むことが叶った。異国の地で初めてのひとり暮らし。電気や水道の手続きや移動手段の確保など苦労も多かったが、世界のトップスプリンターと同じ練習拠点で活動できる充実感も大きかった。
中島佑気ジョセフが語った今後の目標とは? photo by Koreeda Ukyoこの記事に関連する写真を見る 社会人1年目の昨季も、4月から6月中旬にかけてアメリカでトレーニングを積んだ。ケガや体調不良もあってアメリカでのトレーニングの成果をなかなか発揮できずにいたが、この夏ようやく真価を披露した。
まずは8月3日の富士北麓ワールドトライアル2025で自身初の44秒台をマークし、土壇場で世界陸上の参加資格もクリアした。
「それまで『45秒』は壁でしたね。自分で無意識に壁を作ってしまっていた。最初の頃は44秒台を狙うのが『楽しい』と思えるフェーズだったんですけど、途中から『出さなきゃいけない』と思うようになっていました。
自分のなかで44秒台を神格化しているというか、44秒台を出すにはすごいことをしないといけないっていう固定観念があったんです。そうなると、変に力が入ってしまって、ムラがある走りになっていました。今見ても、2023年からは走りがガチャガチャしているなって思います」
その壁を越えてからの中島がすごかった。
世界陸上では予選で44秒44の日本新記録を打ち立てると、準決勝、決勝と3レースすべてで44秒台を揃えた。そして、世界の6位まで上り詰めた。
「1回超えてしまうと、『自分のものにしたな』っていう感じがあるんです。再現性に関しては、すごい自信があるので。最初に44秒台を出した時に『どうして出せたのか』を、心理的な要素や技術的な要素を含めて分析し尽くしました。自己分析を徹底することが、たぶん、再現性の高さにつながっているのかなと思います」
今季は紆余曲折があったものの、最終的には中島の思うようなパフォーマンスに行き着いた。6位入賞の快挙は、中島にとっては計画どおりと言えるのかもしれない。
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