【箱根駅伝 2026】渡辺康幸が占う今季の大学駅伝の勢力図 出雲駅伝、全日本大学駅伝は早大と中大を中心に展開? (2ページ目)
【初戦の出雲は早大、中大、創価大が優勝候補】
――中大はトラックのタイム、実績を見ても、出雲、全日本と席巻しそうな予感があります。一方で、今夏はこれまで以上に走り込んだという情報もあります。
「中大は読めない部分があるんですよね。でも、ハマったら手がつけられないチームという印象です。吉居大和選手(現・トヨタ自動車)がいたときには優勝に届きませんでしたが、今シーズンはやりそうな感じがするんですよね。選手層では早稲田よりも上ですし、一人ひとりの破壊力も抜群です。駅伝に向けてチームとしてまとまってくればやはり強い。
例年は、9月末に新潟の競技会の5000mで好記録を出して駅伝シーズンに臨んでいましたが、それで出雲には合わなかった。ところが、今年はトラックではなくロード(9月28日のThe Road of WASEDA)に出場しました。ロードとトラックって走り方がまったく違うので、あのまま調子をキープしていたら、出雲は面白いですよね。
仕上がり具合を見ると岡田開成選手(2年)がいいですし、本間颯選手(3年)や吉居駿恭選手(4年)も強い。つなぎ区間を担う戦力も充実していて、おそらく溜池一太選手(4年)がアンカーで来るでしょう。
出雲は早稲田か中大、のような気がしますけどね。それ以外のチームが勝つイメージはなかなか湧いてきません。
駒澤は佐藤圭汰選手(4年)が出雲に間に合わなかったですし、前回大会を制した國學院は出雲に向けて調整しており、いいオーダーを組んでくると思いますけど、どちらかというと、距離が長くなったほうが強いと思います。青学も同じですね」
――出雲は2強対決になるという見方でしょうか。
「そこに加わってくるとしたら創価ですよね。日本選手権の5000mで決勝に進んだ小池莉希選手(3年)もいるし、留学生がいるじゃないですか。そう考えると、優勝の可能性も秘めています。
出雲は先手必勝です。3区を終えた時点で前にいたところが有利ですよね。そこに創価がいるかもしれない。アンカーも大きなポイントです。早稲田は工藤選手、中大は溜池選手が来ると予想していますが、ここにエース格を起用できるチームは強い。力がない選手が相手だと30秒ぐらいはひっくり返してしまいますからね」
――そういう意味では、昨年の全日本の8区で、創価大の野沢悠真選手(4年)は区間2位で走っており、早稲田の工藤選手に勝利しています。
「創価も力のある選手が来ると思います。だから、創価の優勝も可能性はあると思います」
つづく
⚫︎Profile
渡辺康幸(わたなべ・やすゆき)/1973年6月8日生まれ、千葉県出身。市立船橋高-早稲田大-エスビー食品。大学時代は箱根駅伝をはじめ学生三大駅伝、トラックのトップレベルのランナーとして活躍。大学4年時の1995年イェーテボリ世界選手権1万m出場、実業団1年目の96年にはアトランタ五輪10000m代表に選ばれた。現役引退後、2004年に早大駅伝監督に就任すると、2010年度には史上3校目となる大学駅伝三冠を達成。15年4月からは住友電工陸上競技部監督を務める。学生駅伝のテレビ解説、箱根駅伝の中継車解説では、幅広い人脈を生かした情報力、わかりやすく的確な表現力に定評がある。
著者プロフィール
和田悟志 (わだ・さとし)
1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。
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